Zuriaake(葬尸湖):[Afterimage of Autumn(弈秋)]


中国産、プリミティブ/ディプレッシブ/アンビエントブラックメタル、2007年1st。9曲55分。
Pest ProductionsよりDVDサイズのB5デジパックで600枚限定リリース。
1998年結成と地味に活動歴の長いベテランバンドであり、ジャケ・ブックレットはいかにもな水墨画、歌詞は漢文、おまけに数種の民族楽器使用と、中国感溢れるネガティブブラックメタルとなっている


ツーバスをドコドコさせつつディプレ然りとしたグルーヴィなスロウ〜ミッドテンポのドラムの上で、ジリジリと薄っぺらく歪んだプリミティブなギターメロウな灰色リフ暗く沈みこむような陰鬱ディプレトレモロ儚く哀しげな感傷的トレモロを奏で、神秘的に響き渡る鍾乳洞系アンビエントKey、アコギ、ピアノ、および女子十二楽坊が使ってそうな打玄楽器(マンドリンみたいな)や古風な笛をはじめとした各種民族楽器などが中国奥地の秘境を思わせる美しい旋律を奏で、そこにイーヴィルなガナリ絶叫・およびトンビ系超音波絶叫が乗っかる。モコモコしたベースも底の方に聴こえ、地味だが鬱屈としたメロディを奏でている。
基本Burzumあたりを思わせるノイジーリフ主体のわりと硬派なディプレ/アンビエントブラックだが、Keyや民族楽器、果ては鳥のチュピリングサウンドや雨/川の水音などのSEを効果的に用いて、フォーキーな味付けがなされている点が個性的であり、また魅力となっている
さらにPest Productions系列らしく、シューゲイジングなブラックメタルに通ずる爽やかなノスタルジーもそこここに感じられるあたりがツボを抉る
ヴォーカルは低音から泣き叫びまでこなすリバーブのかけられた邪悪なガナリ絶叫だが、Neige御大の本気絶叫を彷彿とさせる黒板を引っ掻いたような超絶超音波絶叫が頻繁に用いられており、鬼気迫る素晴らしいパフォーマスを披露している。


というわけで、悲しげなメロディを讃えた淡々としたブラック、プリミティブかつノスタルジックなPest Productions系鬱ブラなどが好きならきっと楽しめるであろう一枚
ヴァイキングメタルかという壮大な叙情性を感じさせるフォーキッシュなインスト#1[林语 / Whispering Woods]#9[霜月 / Moon of Frost]#4[奕秋 / Afterimage of Autumn]の非メタルなパートなどを筆頭に自然的な情景描写が非常に綺麗で美しく、牧歌的な清澄感と哀愁漂う悲壮感を感じさせる雰囲気作りが素晴らしい。
またギターの奏でるメロディも、初期ノルウェイジャンの影響を感じさせつつもほどよくメロディアスかつメランコリックであり、琴線に触れる。
ぶっちゃけイロモノかと思っていたんですが、思いのほかブラックメタルとして高レベルな内容なので、未聴の方はぜひMyspaceなどで試聴してみてください。
いやはやそれにしても、今まで中国産ってのはスルーしてきたんですが、いい感じに鬱鬱しくRawなバンドが転がっているようですね。
今後チェックしていきたいところであります。


・Myspace:レーベルでは既にSold Outになっているので、気に入った方はお早めに。