Be Persecuted:[I.I]


中国産、プリミティブ/ディプレッシブブラックメタル、2007年1st。8曲48分弱。
2006年にPest Productionsから100枚限定でリリースされたデモ音源に、2曲追加してNo Colours Recordsよりリリースされたもの。
プリミティブな触感によるディプレッシブ/ノスタルジックなメロディが心を抉る痛快な鬱ブラックとなっている。


ブラストや疾走を挟みながら無機質かつ軽快気味にリズムを刻む打ち込み(?)ドラムに、シャリシャリチリチリジリジリの激プリミティブなノイジーギターBurzumをさらにメロウにしたような灰色ノイジートレモロ、および透き通るような叙情・哀愁とディプレ的憂鬱感を滲ませた感傷的なトレモロを掻き鳴らし、その上で悲愴極まる泣きガナリヴォーカルが凄絶に泣き叫ぶ虚無感漂う鍾乳洞系アンビエントKeyや、寂寥感を募らせるアコギ、ピアノなども頻繁かつ効果的に挿入される。
BurzumNargarothあたりのスタイルをベースに、ディプレ→シューゲへ向かうようなベクトルの儚いノスタルジーを添加したような感じか。
まず一聴して耳をひくのは、Sortsindあたりを彷彿とさせる鬼ノイジーなギター。全方位ノイズで埋め尽くされた、ラジオの砂嵐ノイズさながらのジャージャーっぷりが病んだマニアの耳(自称)には気持ち良いことこの上ない。そんな2本のギターによって奏でられるメロディは絶望感というよりは物悲しさや郷愁、陰鬱というよりは爽やかさが強調されており、心に沁み入るなんとも切ない憂鬱感が味わえる
また悲劇的に泣き叫ぶヒステリックなヴォーカルはBurzumSilencerを思わせ、楽曲に漂う悲愴感をさらに強力なものとしている。こるぴさんによるとどうやら女性ということですが、まぁ男性の泣き叫び系との違いはわかりません(笑)
ギターに反して硬質かつシンプルなドラムの音質は、軽めではあるがわりかし良好であり、ポンコツ感はない。


というわけで、Pest Productions系列の儚い叙情を感じさせるメロウなブラックメタルが好きなら楽しめるであろう一枚。
アルバム前半のプリミティブ然りとしたメロウなトレモロで押すスタイルも好きだが、#4あたりからSacrificia Mortuorum2ndを彷彿とさせるような爽やかなノスタルジーが増してかなりツボにクル哀愁溢れる曲が続く。とくに#7[Some How]は、淡い温かみと物寂しさの滲んだアコギのアルペジオ、および柔らかなクリーントーントレモロがノイズをまき散らすギターに被さることで、まるで心が洗われるような美しくも切ないシューゲイザー系を思わせるような良曲となっており、お気に入り。
なんといっても全く耳に優しくない、プリミティブにしてもやり過ぎの部類に入る極悪ギターが聴き手を選ぶ音源ではあると思うが、そこさえ克服できれば煽情力の高いメロディに打ちのめされること請け合い。
むしろマニアにとってみれば、この耳をジャリジャリ摺り鉦で摩り下ろされているような感触はたまらないはず。
プリミティブもディプレッシブもどちらもイケルという方にはぜひとも聴いていただきたい。


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