El-Ahrairah:[The Blessing]


上に紹介したアメリカはミネソタ産、RAW・アトモスフェリック・ブラックメタル、2010年2ndデモ。4曲30分弱。
オリジナルは自主制作手書きナンバリング入り50本限定テープ。
自分は2011年にA Terre Recordsより再発された、これまた50本限定の手書きナンバリング入りテープを入手した。


【轟音神秘のカスカディアン・スタイル注目株!ハードコア的展開が増えてさらにアゲポヨ!】


基本的には上に紹介した1stデモと同様の、ハーシュな轟音ギターが神秘的なアトモスフィアを発散するカスカディアン・スタイル。
相変わらずテンションの高い轟音神秘のギターによる琴線刺激メロディの素晴らしさったらない。
#1[Fast Becoming]などリズムチェンジを多少加えながら9分間延々一つのフレーズを掻き鳴らしているだけなのだが、そのメロディが破壊力抜群であるためもうメロメロにされる。
タツタドカドカといったハードコアなノリのアップテンポとブラストブルータルパートとを行き来するダイナミックな展開が増え、メロディの質は異なるが構成としてAsh Borerに近寄った印象(ドゥーム的展開は無いが)。
#1[Fast Becoming]など特にそんな感じ。これはいい変化だ!
#3[Blacke]ではズンズンしたメタリックなリフなんかも顔を出しており、1stデモより芸風が広がったと言えるだろう。
また前作で聴かれたノイズ的アプローチは今作でも見取ることが出来、#2[Suffer]はジャカジャカジャンジャンと寂しげに奏でられるしっとりアコギを、スピーカーの限界を超えてボリュームのつまみをフルマックスにしたためガビガビにヒビ割れてしまったようなハーシュ極まりないインスト曲であり、あまりノイズに造詣の無い自分にとっては7分超もこの路線は正直ちょっとしんどい。
とはいえやはりブラックメタル曲の、ひたすらにリフレインされる荘厳神秘の轟音ギターに耽溺する感覚はたまらないものがある!


というわけで、1stデモを踏襲しながらさらに熱い進化を遂げている意欲作。
Metal Archivesによるとバンドの扱うテーマは「Death, War, Nature, Watership Down」とのことで、出身地的な意味でもこのバンドをカスカディア一派とするかは結構難しいところ(バンド名とともに文学の世界を扱ってるからクトゥルフ系の感覚に近いのかな?)だが、前作同様Wolves In The Throne RoomAsh Borerといったカスカディア系のオーソドックスなバンドが好みならきっと楽しめるだろう。
まず間違いなくマニアックな部類に属するバンドだと思うが、某雲丹あたりに置いてあるカスカディアン・ブラックは勿論、LeechFaunaMerkabaDeafestといったバンドも大概聴いちゃったよという通な方は捜索することを推奨します。
個人的には目下最注目のUSアトモスフェリックブラックだ。
今後の動向から目が離せない!
(2009年からコンスタントに音源をリリースしていたのに2013年に動きが無さそうなのが若干不安。ぜひともしっかりした活動を!)


【お気に入り】
#1[Fast Becoming]
【レーベルBlogspot】
http://aterrerecords.blogspot.jp/
【レーベルBigcartel】
http://aterre.bigcartel.com/


お気に入りの#1が見つからなかったので、1stデモにも収録されていた#4[Flora]を↓。
おそらくリテイク?音質がヨレヨレなのがちょっとストレス。