El-Ahrairah:[El-Ahrairah]


2009年結成のアメリカはミネソタ産、RAW・アトモスフェリック・ブラックメタル、2009年1stデモ。3曲30分強。
オリジナルは40本限定テープであり、A Terre Recordsにより40本、50本とテープが2回リリースされている。
自分は50本限定のATRを入手。手書きナンバリング入り。
ちなみにバンド名は「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」というイギリスの児童文学に登場する、伝説上のうさぎ族の王にして英雄のことなんだとか。


【ハーシュ音質で掻き鳴らされる轟音神秘のカスカディアン・スタイル、無名に反してハイクオリティなダークホース!】


1曲当たり10分前後、ドカドカと苛烈に叩き込まれるドラムに乗せてバキバキジャギジャギの轟音ギターがジャジャーーーーギャギャーーーーフォワーーーーーーと長尺神秘メロディを掻き鳴らす、ザッツ・カスカディアン・スタイル。
轟音ギターがパッと見Wolves In The Throne Roomを思わせるアトモスフィアを撒き散らしながら、その上をハイトーンのリードギターが妙な明るさと爽快感のあるシンプルなメロディを、まるで鷹が曇天を切り裂いて飛ぶかの如く奏でられている点が印象的。
ノイズ質の強いハーシュギターが妙に明るいフレーズを弾いている様はLonesummerをも髣髴とさせる。
実際#3[Llands]終盤はガピガピギョーなノイズ・アンビエント的アプローチで締めくくられる。
一曲は少ないフレーズによって構成されているが、ドラムパターンの変化や同じフレーズをクリーントーンにした落ち着いたパート等によって楽曲に適度な山谷を設けており、リフレインによってジワジワドップリと作品世界に浸漬する、長尺ブラックの真骨頂ともいうべき感覚を楽しむことが出来る。


というわけで、無名ながらなかなかどうして素敵ングなUSブラックメタルの良盤。
3曲が3曲とも素晴らしく、緊張感を保ちながらも琴線を刺激する荘厳美麗なメロディや、楽曲に充満した神秘的雰囲気はカスカディア系と比較してもなかなか瞠目させるものがあり、「あれ、もしかしてこれ、実はめっちゃいい当たりバンド引き当てちゃったたんじゃないの?」と言う感じ。
我ながらナイス選球眼。
前述のように轟音ギターの音壁の上を飛翔するように奏でられる高音メロディが結構印象的でオリジナリティも高い。
残念ながら音源のリリース数が少なく、流通も悪いため音源の入手難度は結構高い(自分もテープ6作中3作しか入手できていない)ながらも、WITTRAsh Borerの轟音パートが好きならきっと気に入るのではないかと思うので、ピンと来た方は中古市場に網を張るなどして是非とも聴いてみていただきたい。
興味ない人も見つけたら買っといてください、僕がそれなりの金額で買い取りますので(笑)


【お気に入り】
#2[Flora]:開始3秒でノックアウツ。
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