Ardour Loom:[Demo]


USはオレゴンアトモスフェリック・ブラックメタル、2014年デモ。2曲41分半。
Parasitic Recordsより100本限定テープでリリース。
Aldebaranなるフューネラル・ドゥーム・バンドのメンバーによるバンドとのことだが、ギター/ベース/ヴォーカル担当のK.Fall of the Bastardsの元メンバーで現Oakhelm、さらに2010年からWolves in the Throne Roomのライブギターも担当しているということで、何気にカスカディア人脈のバンド。


WOW!ザ・ストレート・カスカディア!
カスカディア系と聞いて思い浮かべる諸々を具象化したらこんな音!
という教科書通りの理想的カスカディア・サウンドが展開されている。
幻想性や神秘性を湛えたエモーションと自然的な温かさ柔らかさを感じさせる凛々しげで豊かなギターフレーズ、力強いドラムと音響的シンセによる空間演出とで荒々しさと静謐さを行き来するダイナミックな楽曲はまさにポスト世代のアトモスフェリック・ブラックメタル
要所要所のフレーズや空間演出にポストロック/シューゲイザーを思わせる柔らかな音使い等といったアプローチが感じられるものの、オサレ過ぎてブラックメタルのシリアスさを損なうといったことは一切無く、あくまでブラックメタルの範疇で上手くそれらを咀嚼していると言える。
このあたりはWITTRSkagos1stを彷彿とさせて実に良い塩梅だ。
悲痛さの滲むヴォーカルの絶叫も噛み付くような獰猛さと迫力があってナイス。
特に#2[Ascend the Crimson Confluence]の冒頭などマジでWITTRを幻視するレベル。
カスカディア系の中に於いては個性は薄いかもしれないが、とにかく一つ一つのメロディや展開が神髄の域であり心底魂にブチ響くのよ!!


というわけで、クセの無いストレートなカスカディアン・ブラックメタルが楽しめるオススメの逸品!
カスカディア・シーンのど真ん中を行くこのサウンドは数か月前から地味にプッシュしているRadagast同様で、この手のファンならツボにハマること間違いなしだ!
オリジネイターのようなエポックメイキングな衝撃はあまり感じられないが、第二・第三世代だからこそ為し得る的が絞られた品質の高さは軽視するわけにはいかない、ということを感じさせてくれるハイクオリティぶりだ。
2曲入りのデモという位置づけだが、サウンドにしろボリュームにしろこれをフルレンスとしても良いほど充実した作品だと思う。
イマドキBandcamp等なくテープを購入してもDLコードはついてこないのがネックとはいえ、カスカディア・ファンには是非とも聴いていただきたい。
今後の活動が楽しみだ!


【お気に入り】
#2[Ascend the Crimson Confluence]:1分あたりからWITTR再現度高すぎてヤバイ。
【レーベルサイト】
http://parasiticrecords.blogspot.jp/
【Shop Page】
http://www.parasiticrecords.bigcartel.com/product/ardour-loom-demo-cassette