Forest Poetry / ILDJARN


初期EMPERORにベーシストとして参加していた経歴も持つILDJARN先生による、独り【自然崇拝】ブラック・メタルの3rdアルバム。自称“Raw and Primitive North Metal”らしいっす。96年の3rd22曲に4曲加え、さらに“instrumental raw mix collection”として3rd、2ndから4曲ずつ加えて全34曲78分、04年に日本のレーベルWolfsgrayが第一弾アルバムとして再発したもの。


自然崇拝と聞くと綺麗で荘厳なメロディを装備したシンフォ系(ARCTURUSの1st辺り)かなって感じだけど、どっこいノイズまみれで暴虐の限りを尽す凄まじいプリミティブ・ブラック。
再生ボタンを押した瞬間、スピーカー壊れんじゃないかってくらい強烈な絶叫と耳障りなほど歪められた楽器陣がガ――――っと脳髄を襲撃!!ホントに凄まじいの一言。


まず特徴的なのは音質。当然極悪極まりない音質なんたけど、普通のプリブラみたいに薄っぺらで分離の悪い音質じゃなくて、分離がよくてどの楽器も結構ハッキリ聞こえるんだよね。ギターは高音強調目のシャリシャリしたやつじゃなくて、エッジをすっぱり無くして低音をこれでもかと強調した、なんかボヮヮァ〜〜ボヮヮァ〜〜って感じの音。これ、すっごい邪悪(´д`*)そんでベースラインこの手のバンドにしてはが驚くほど鮮明で、硬めの音でベンベン耳を責めてくる。これがまたかっこいーのなんの・・・ドラムも非常にパワフルで、ブラストとかはなくてひたすら2ビートなんだけどハンパないドカドカぶり。それら全部が重なってかなり分厚い音造り。ホント、他には無いタイプの音なんだけど、プリミティブと言われるどのバンドよりも負のオーラを発散する極悪な音質。気持ちイイったらありゃしない!!そこにエフェクトかけて歪めた狂ってるとしか思えないガナリ、絶叫がのっかんだから凶悪なことこの上ない。
後半音質かわって、ポンコツグラインドみたいなポコポコしたドラムにかわったりするけど、俺はこの音好き。もっとききたかったくらいだ。


曲はどれも2〜3分程度でひたすら同じリフとリズムを繰り返しながら、物凄いテンションで突っ走るスタイル。ぶっちゃけ、「どれも同じ曲じゃん!!」って言われたら、苦笑いしつつ「そだね」と答えるしかないほどに単調。ただ、単調なブラックっつーとだらだら路線が多いわけだけど、この人は激烈路線でそれをやっちまう狂人。それを34曲78分も休むこと無く(ホントに落ち着く展開が極力ない!!ww)続けんだからタチが悪い(笑)
でも実は案外ギターが分かりやすい不穏なメロディひいてんだよね。シンプルだけどなかなかの魔界テイスト。最初のうちはノイズと轟音にばっか意識が向いてしまうんだけど、そこに気付くと結構曲が面白くなってきて、知らず知らずのうちにドツボってしまうと思う。
また、ほとんどの曲で頭にカウントが入ってる。デモじゃないんだから消しとこうよ(笑)たまーにカウントでなくサッカーの試合開始みたいなホイッスル入ってんのが謎ww


一般的な常識人には雑音どころか拷問以外のなにものでもない、てか普通にブラック聴く人でもこれは無理って人はかなりいると思う。一般メタラーの抱くブラックのイメージ(劣悪な音質でガチャガチャ何やってんだか分かんない演奏とひたすら絶叫の頭の悪いボーカル(最近はそーでもないのかもしんないけど))をブラックメタラーに抱かせてしまう、それくらい、あまりにも個性的で強烈なインパクトもった極悪音源なわけだけども、自分含めハマってしまうと、ふとした瞬間に凄い聞きたくなってしまう中毒性もったアルバム。もはや病んでるとしか(笑)このバンドはブート・オフィシャル共にかなり多作だけど、どれ聴いても大差無いらしい(笑)から、常日頃極悪要素を求めてやまない人はどのアルバムでもいーから刺激求めて聞いてみるといーと思う。
まぁ、俺はILDJARN信者だけど、アルバムは1枚あれば十分かな(笑)ただ、自然崇拝ミュージシャンらしく、シンセ主体の美しいアンビエント・アルバムも出してるみたいだから、そっちは是非とも聴いてみたいね。


しっかし何度聴いても、どこが「森の詩」なんだかさっぱわからん(笑)