Drowning the Light:「A World Long Dead」


近年多くのデモ、スプリット、及びフルレンスをリリースして注目されているオーストラリアのディプレッシブ・Rawブラックメタル、お岩さんジャケのおそらく2nd?2007年4連続リリース第一弾。


前作にあたる1stSatanic Warmaster meats 鬱ブラック」といった作風であったが、今作ではリフのセンスがフランス的メランコリズムにシフトしており、中期MutiilationなどのフレンチUG系が根本にあるんじゃないかと思われる憂鬱プリミティブ・ブラックメタルをプレイしている。前作Disc2に近い荘厳な雰囲気だ。
淡々とリズムを刻む無機質な打ち込みドラムによるミッドテンポ〜疾走、ときおりブラストな曲調で、最後の曲のみ10分強と大作だが前作に比べ楽曲が総じてコンパクトになっている。


もやがかかったようなギターによる湿り気と憂いを帯びた沈み込むようなリフが気だるく掻き鳴らされており、メロディのディプレッシブ感が大幅にアップしている。前作で聴かれたメロウなトレモロも儚さをより増している。
またヴォーカルワークにも変化が見られ、Burzum4thのような歪み方の泣き絶叫/ガナリを軸に、囁くような声、呻き声、気だるいノーマルボイス等を用いている。嘆くように感情を吐露しており、情けなく泣き叫ぶような場面もあったりして、ひどく悲しげな声がしんしんと胸に響いてくる
時折挿入されるKeyはXasthurに自然崇拝的要素を加えたような、鬱でありつつどことなく牧歌的な雰囲気。#1のピアノによるインストは宮崎アニメで流れていそうだ。
これらの要素の相乗効果によって、寂しさ、孤独、諦らめ、絶望、とりわけ悲嘆といったネガティブな感情がヒシヒシと感じられる内向的なサウンドが展開されている。


音質は1st同様籠り気味ではあるものの、1stよりきれいな音になっており格段に聴きやすい。引っ込みがちのジャリジャリしたギターはエッジが丸く鋭さが感じられず、その分悲愴感漂うヴォーカルが前に出ている。ドチャドチャしたあからさまな打ち込みドラムはMutiilation4thっぽい無機質さ。なんとも覇気のない音質だがこの音楽性にはマッチしている。


心に響くナイス灰色憂鬱プリミティブ。聴いているとなんとも寂しい気分になってくる。
暗く沈んだギター/Keyのメロディが切なく鳴り響き、絶望的なVoが溜息混じりに絶叫する中、無慈悲にドラムがビートを刻む。ダークっつーのとはちょっと違うがこれはこれでかなりの根暗サウンド。特筆すべきは、悲しみの中にも美しさが感じられる点であり、綺麗に病んでいるといった印象だ。
今まで書いてきたように、Satanic WarmasterMutiilation、鬱系など異なるスタイルでの一級バンドたちのエッセンスをうまく消化しつつ自らのスタイルを確立することに成功していると思う。とりあえず、自分はかなり気に入りった次第。
鬱系やフランス産ブラックの儚さが好きな人にオススメ。


・Drowning the Light @ Myspace