Nemesis Throne:「Garden Of Hate」


フランス産、独りミサンスロピック・プリミティブ・ブラックメタル、2007年1st。500枚限定の手作り感あふれるプロCD-R。7分、10分、20分の全3曲。
はい、わたくし、こういうバンドを待っていました。


初期MutiilationIldjarn(なんという恐ろしい組み合わせw)に影響を受けたというそのサウンドは、Sortsindがチラリと思いだされるような精神崩壊系プリミティブ・ブラックメタル
マシンドラムが無機質なビートを淡々と刻み、Darvuliaのような厭世感丸出しの不穏なリフIldjarnが如くミニマルにリピートされ、その上でチリチリギターによるどこか壊れ気味の狂気に満ちたトレモロが掻き鳴らされる。憎悪と怨念に歪みきった凄絶ガナリヴォーカルが全てを呪うかのようにジュクジュクと呪詛を紡ぎ壊れたオルゴール/チャーチオルガンetc.のようなKeyが不気味に鳴り響く・・・
フレンチ・ブラックの持つ不穏な暗黒オーラカルトまみれのUG臭をギュッと濃縮して、自傷行為に活路を見出したかのような、闇度病み度の極めて高い世にも恐ろしいブラックメタルが展開されている


Ildjarnとまではいかないが、耳をつんざく極悪の轟音音質でジリジリと精神を蝕む廃人サウンドだ。
チリチリのギターにより紡ぎだされる胸をかき乱すようなトレモロはまさに初期MutiilationSortsindに通ずる崩壊感。もうメロウとかの域を超えてる。
さらに、幽かに鳴り響くKeyによって、Striborgのようなこの世ならざる演出がなされているのでなおタチが悪い(笑)
そうした、壊れたリードギター、暗黒轟音バッキングギター、地べたを這いずるベース、お化け屋敷Keyがそれぞれ微妙に噛み合わないメロディを混沌とリフレインする様はまさに狂気の沙汰。これは怖い。#3とか、もう死ねる。


ヴォーカルはIldjarnのように深くディストーションをかけて歪めたガナリ絶叫。これがまた邪悪なことこの上なく、生気が全く感じられない素敵怨霊鬱ボイス。1stの頃のMeyh'nachを気だるくした感じだろうか。


というわけで、凄まじい怨念と憎悪の込められた狂気のプリミティブ・ブラックメタル。
轟々と蠢くノイズまみれの息が苦しくなるような閉塞的轟音と、聴く者の不安を煽りたてるような不協感全開の陰鬱メロディの相乗効果によって、一切の光すら差し込まないどこまで行っても暗く凄惨な絶望サウンドが淡々と、しかし圧倒的な密度で繰り広げられている。とてつもない負のエネルギーが充満しており、聴いていると発狂しそうになる、なんてくだらないことを言う気は毛頭ないが、とても心象穏やかではいられなくなる。全く人を寄せ付けないまでの凄まじい厭世感。マジな話気持ち悪くて最後まで聴けない人もいるだろう。
Mayhem1stを初めて聞いた時のような、何か触れちゃいけないものに触れたようなカルト感がある。これは初心者は絶対に手を出してはいけない領域だ。
収録時間が40分弱と短いことのみが救いと感じるかもしれないが、始まってみれば尋常じゃないほど濃度が濃いため、この長さで十分拷問音源たりえている。むしろこれ以上は勘弁していただきたい。
というわけで、初期MutiilationSortsind、そして話題(でもないか?)のAshdautas Vrasubatlatなどの壊れた感覚を強調したブラックメタルが好みであれば気に入るんではないだろうか。
並みのブラックじゃ勃たねぇよって方はぜひお試しあれ。ただし自己責任で。


・Shadow Dance Records:今後の動向が非常に気になります。