Alda:: tahoma :


(2012.04.15追記・修正)
アメリカ産、自然崇拝系アトモスフェリック・ブラックメタル、2011年2nd
Eternal WarfareSingularity Publishingとの共同リリース。各レーベル50本ずつの計100本限定テープ。
Eternal Warfare版は4曲42分、Singularity Publishing版は一曲(#3[Tearing of the Weave])追加されて5曲54分半。
自分は両方ゲットした。
画像上がEternal Warfare版、下がSingularity Publishing版。


大自然への根源的な親愛、崇敬、畏怖を込めつつも、温かみ溢るるフォークな郷愁とエモい癒しに満ちた琴線破壊の哀愁メロディがこれでもかと炸裂する、神秘と幻想と激情のカスカディアン・ブラックメタル決定版!】


骨肉感のある生々しさが心地よいドラムが、どっしりミドルパートやトラッドなパーカッション、苛烈なブラスト等をダイナミックに絡めてドラマティックに展開し、アナログな温かみ溢れる生々しさと霞が如く歪んで拡散するノイジーさを備えた幽玄な響きの空間的アトモスフェリック・ギターが、ポスト・ハードコア的激情、あるいはシューゲイザー・ブラック的儚さを孕みつつ、大自然雄大な情緒感をしっかりと主張する気高く崇高、かつエモーショナル極まりない涙腺刺激リフ/トレモロアルペジオ、スラッジーな重々しさのある重厚リフを掻き鳴らし、ベースが温かみのあるメロウなラインをなぞり、雨上がりの森林のような芳しく湿った土の臭いがじんわり沁み込んだような、柔らかで素朴、かつ芯の強いアコギが、しんみりとした木目調の叙情と木々の狭間から漏れる陽光を湛えたような、緑の癒しに満ちたアルペジオ/ジャンジャカリフ/単音リフを奏でる。
ヴォーカルの出番が少なくインストゥルメンタルな趣が強いが、霞の向こうで叫んでいるような悲痛な絶叫ヴォーカルには猛る感情を必死に吐き出しているような切迫した雰囲気が漂っており、これが楽曲の雰囲気とマッチしており実にかっこ良し。


Wolves In The Throne Roomからの流れを汲む、アメリカ大陸北西部に生息する自然崇拝を掲げた新世代系ブラックメタル、いわゆるカスカディアン・ブラックメタル
ポスト・ハードコア、トラディショナル・フォークの影響が色濃い大作路線の神秘的アトモスフェリック・ブラックなサウンドが展開されている。
このAldaはそうしたカスカディアン・ブラックの中でもとりわけベーシックなスタイルを貫いているように感じるが、カスカディア系の開祖たるWITTRと比べると、より大自然の持つ、素朴だが力強い美しさや、フォークな感性漂う哀愁といった雰囲気が強いように感じる。
もうどうしようもなくメロディが素晴らしく、一つ一つのフレーズが、深淵かつ荘厳でシリアスながらも実に叙情的で、琴線を刺激しまくり滂沱の如く涙が込み上げることこの上ない。
この辺の雰囲気は2nd3rd辺りのAgallochOctober Fallsをも思わせる。
かと言ってSkagosPanoptconほど柔らかく儚げなメランコリーに傾倒してはおらず、Ash BorerFell Voicesほどストイックに信念に徹したカルトなまでの殺気を振りまくわけでもない。
大自然的叙情感、ポスト・ハードコア的フィジクス・および静動を駆使するダイナミックな楽曲、シューゲイザー的幻想・儚さ。
そうした要素を体得して古式ゆかしい悪魔崇拝的邪悪さや陰鬱な暗黒性を排除しつつ、ブラックメタル的神秘性と暴虐性をしっかりと纏い、魂の底から湧きおこる言葉では形容し難き激烈な憤怒の感情を叩きつけるように駆け抜けている。
また#3/4[Shadow of the Mountain]は、純朴なアコギと穏やかでちょっぴり切なさを含んだクリーンヴォーカルによる、温かで落ち着いた癒しに満ちたアコースティックチューンとなっている。
(2012.04.15追記・修正)
SxPx版で追加された#3[Tearing of the Weave]は、間奏でアコギにアコーディオンが絡んだりとフォーキーなパートとブラックメタルとが融合された大変素晴らしい楽曲となっている。



というわけで、軒並みレベルの高いカスカディアン・ブラックの中でも、とりわけ理想的なバランスとキャッチーさを体現した、まさに傑作中の傑作。
僕はもはや言うまでもなくカスカディアン・ブラックにはめっぽう弱く、それ系には絶賛の限りを尽くしているが、この作品はその中でもさらに強烈に胸を打たれ、完膚なきまでにヤられてしまった次第。
ぐうの音も出ない。
全く非の打ちどころが無く、Metal Archivesでレビューの平均点が99点とかなり高い評価を得ているのも頷けようというものだ。
WITTRSkagosPanopticonAsh BorerFell VoicesLeechといったカスカディア一派、あるいはAgallochOctober Fallsといったバンドが好きであればまず間違いなく楽しめるはず。
そうでない人にも、素晴らしい作品なので、ものは試しと是非聴いていただきたい。
今のところテープ音源のみのリリースだが、どうやらPest ProductionsからのCDリリースも決まっているようなので、気になる方は是非チェックしておいてもらいたい。
今年最大級にオススメ!


【お気に入り】
#1[In the Wake of an Iron Wind]:これぞカスカディアン・ブラック真骨頂!4:30過ぎからの展開でニヤニヤせずにはいられない!w
【レーベルサイト】
http://www.eternalwarfare.org/?page=home:ライブ音源がDL可能。
【レーベルサイト】
http://singularitypublishing.blogspot.com/
MySpace
http://www.myspace.com/aldacascadia