Woman Is the Earth:[This Place That Contains My Spirit]


「おにゃのこは地球!」という何やらただならぬメッセージが込められてそうなバンド名や自然派っぽいロゴがオシャレかっこいいアメリカはサウスダコタ産、アトモスフェリック・ブラックメタル、2012年2nd。4曲47分半。
オリジナルは自主制作の紙スリーブ入りCDR。
2014年にEisenwald Tonschmiedeよりリマスター再発盤がリリースされた。
自分はオリジナルと再発盤の両方をバンドさんより直接頂いた。


ポストWolves in the Throne RoomUS新世代系アトモスフェリック・ブラックメタル
とは言いつつも、2007年結成なので何気にWITTRと同級生だったりする。
WITTR初期Skagosを思わせる神秘的で厳粛な雰囲気に満ちたアトモスフェリック・スタイルだが、昨今のカスカディア系ほどポストロックやシューゲイザー、あるいはフォークに傾倒してはおらず、あくまでブラックメタル然りとした、これ系にしてはわりかし硬派なサウンド
苛烈に荒々しく叩き込まれるアグレッシブで生々しいドラムに乗せてファ〜ファ〜と響くシンセサイザーが存在感たっぷりに幻想的な空間を演出する中、美しさと悲壮感をジワリと孕んだ起伏の少ない叙情トレモロが長閑に掻き鳴らされており、またこのメロディがブラックメタルらしさを損なうことなく新世代系お得意の情景描写的エモーションを感じさせるのがニクいったらない!
Panopticonのように貪欲に多ジャンルを咀嚼してあざといほどメロディを振り撒くキャッチー路線もイイが、叙情が滲み出るというか哀愁が絞り出されるというか、これくらいの地味一〜二歩手前メランコリーという絶妙な塩梅はツボってしまうとクセになってしょうがないのだ!
#4[Glow Beyond the Ridgeline]冒頭ではPanopticonをもチラリと髣髴させる繊細なポストロック的音使いも披露してはいるが、やはりそれもブラックメタルに添えられた味付け程度であり世界観が崩されていないのは素晴らしい。
ちなみそのラストトラック#4は激情感のあるトレモロが胸を打つ16分の大作だが後半半分は宇宙感漂うアンビエントとなっており、色即是空諸行無常な虚無感に満たされて作品は幕を閉じる。


というわけで、WITTRの雰囲気だけしっかりと残しながら地味メロウ路線を謳歌しているような新世代系USブラックの良作。
ちなみに再発盤では全体的に音がくっきりシャープになりドラムの聴こえも良くなって荒々しい印象が増しているが、オリジナルの方がよりアトモスフィカルと言い換えることもでき、この辺は好みが分かれるかも。
ともかく、カスカディア系のわかりやすさを期待して聴くとイマイチかもしれないが、もっと普遍的なアトモスフェリック・ブラックとして手堅いスタイルに新世代系の耳触りや方法論を溶け込ませたスタイルはなかなかどうして味わい深い。
前述したようにWITTR初期Skagosの他、AldaFaunaEncircling Seaのストレートなブラックメタルパートが好きな人は一度お試しいただいたら幸せになれると思う。
品質の高さは当ブログが保証します。


【お気に入り】
#3[Sage Moon]:作品中最もメロメロ。ある意味、この曲こそトゥルー・カスカディアの原石。
【オフィシャルサイト】
http://www.womanistheearth.com/
Facebook
https://www.facebook.com/pages/Woman-Is-The-Earth/426851414093461
【Bandcamp】
http://womanistheearth.bandcamp.com/


↓画像は左がオリジナル、右が再発。
真ん中はギターのAndyがくれた手書きの手紙。
少数リリースのバンドと直接やりとりすると結構こういう手紙とかくれること多くて楽しい。
Thanks Andy!