Ezkathon:[The Cvrsed Idols]


デンマーク独りアトモスフェリック・ブラックメタル、2013年1st。6曲35分弱。
Bookhouse Recordsより50本限定テープとしてリリースされた。
なおBandcampにてデジタルアルバムをNYP購入することが可能。


ズバリ、Ash BorerミーツDeathspell Omega
Ash Borerデモ1stあたりの濃密な魔性の雰囲気を纏った苛烈で生々しいハードコアinspiredブラックメタルに、DsO4th5thあたりのどこか高尚で複雑怪奇だが心に響く悲しくも美しい単音メロディを乗せたようなサウンド
過去ニ作はカスカディアン・ブラックメタルの辛辣な側面にフォーカスしたような、Wolves In The Throne Room以降のアトモスフェリック・ブラック・ブームの中でも抜きん出て完成度と真性度の高いサウンドで大変素晴らしかった(シューゲイズ要素はほぼ皆無)が、今作ではより一層ハードコア・ライクな緊張感と激情感や攻撃性が増した。
ズブズブとドス黒い感情を煮え滾らせるドゥーミーなパートから、噴出する激情に身を任せる爆走パートまで、緩急を対比させながら緊張感の張りつめた荘厳で仄暗い世界観を徹底的に描出している。
前作までは無かったアプローチとして、中期DsOを思わせる知的なメロディをこの世界観に配したセンスには拍手喝采を送りたい!
この作品を聴いて、なるほどAsh Borer1stDsO5thってメロディの摩訶不思議感に通ずる所あったんだなぁと気付かされた。
カスカディアっぽいとは言っても直截的に自然崇拝な要素は無いが、タメのスローパートなどにはアニミズムめいた厳粛な雰囲気が滲み出ている。
遠くの方で言葉にならない絶叫を張り上げているような霞がかったヴォーカルスタイルはいかにもAsh Borer的だ。
また中の人Mが独りですべての楽器を担当しているわけだが、苛烈に叩き込まれる感情的なドラムや、あまり目立ちはしないものの要所要所で味なことをして耳を惹くベース(#6[Meridûg]がアダルティですげぇ色っぽい!)、そしてこの分厚く生々しい音質・音像は独りブラックメタルとは到底思えないクオリティであり、昨今の高品質ハードコア系ブラックメタルとタメを張れるレベルだ。


というわけで、これはすんばらすぃ〜ポストWITTR世代の快作!
過去二作もブラックメタルとしての矜持を持ったトゥルー・カスカディア・スタイルで、多くいるWITTRフォロワー勢の中でも突出して素晴らしかったが、今作でいよいよ独自の世界観とサウンドを構築できたように思う。
Sun WorshipParamnesiaといったポストWITTR世代で話題の若手株と比しても遜色のない、というか個人的にはこのEzkathonは緊張感と悲壮感があってハードコアなリズムパートもカッコよくある意味彼ら以上にツボにハマった次第。
前述のようにWITTRAsh BorerSun WorshipParamnesia、あるいはFell VoicesSkagos1st(をズップリ暗くしたような感じ)が好みであれば気に入るのではないだろうか。
ThantifaxathとかThe Great Old Onesの神秘感が好きな人でもイケるかも。
リリース品はすべてBandcampにてNYP購入できる親切設計なので、気になった方は過去作も合わせて是非とも聴いてみていただきたい。
そして2013年6月1日リリースなのに、まだ50本限定テープが余っているようなので、試聴して気に入った方は是非テープ買ってあげてください(笑)
爆裂オススメ!


【お気に入り】
#3[Diluvio]:4分過ぎからの哀メロに心抉られる(動画が無かったんで上に貼ったのは#1[Eridu])。
Facebook
https://www.facebook.com/ezkathon
【Bandcamp】
http://ezkathon.bandcamp.com/
【レーベル】
http://bookhouserecs.blogspot.jp/


ちなみに、過去にMが関わっていたWhorlsもブラッケンド・ハードコアって感じでかっこいいので要注目。