Krallice:[Diotima]


2010年代最重要バンドの一角、アメリカ産、新世代ブラックメタル革命児、2011年3rd。7曲69分弱。
名門Profound Lore Recordsよりデジパックでリリース。


【キャッチコピー】
迸る激情燃え上がるトレモロ偏執ウルトラメランコリック・ネクストセンチュリー・轟音ブラックメタル・アート
【一言】
ダイナミックに緩急つけながら爆裂ブラストで猛突進する迫力満点のドラムによる起伏に富んだプログレッシブな楽曲展開に乗せて、激情に駆られて狂おしく掻き毟られる鬼メロディアスな泣きトレモロシューゲイザーな意匠で奏でられる神秘的/切ない儚さの滲む涙腺刺激/轟音美麗トレモロ、最近のDeathspell Omegaにも通ずるような、魂の底で煮え滾る紅蓮の憤怒を込めたが如き黒い熱気を発する圧搾トレモロ/不穏高音トレモロKlabautamann的叙情アルペジオ、ギターに負けじと時に邪悪に時にメロウに動き回るベース等が、互いに強く自己主張しながらも複雑かつ濃密に絡み合い高みへと昇り詰め飛翔する。圧倒的なメロディの奔流が怒涛のように襲いかかってくる。
【二言】
ぶれない、曲げない、揺らがない!一瞬でKralliceとわかるメランコリックかつアグレッシブかつプログレッシブかつハイテンションな独特の音像が今作でも貫かれている。マンネリなどまるで皆無、群を抜く類稀なセンスは三作目でも全く衰えることなく壮大かつ感動的な叙情ドラマを猛然と描写している。
【三言】
今作では、1stの狂おしいまでの叙情性、2ndブラックメタルとしての矜持を主張する黒き攻撃性の両面をより高度に錬成し、さらにLantlosあたりを思わせるモダンブラック的アプローチやDsOを思わせるような神経を逆撫でる奇怪リフが飛び出したりと、確固たるオリジナリティを軸心としながら、ギタープレイの表現力と楽曲展開の幅を一層広げた最高傑作と呼ぶにふさわしい内容。
【蛇足】
はいはいKralliceKrallice
もうこれでもかってくらいKralliceプログレッシブ・ブラックメタル
いやはやなんともまぁ、さすがのクオリティ、完成度の高さにただただ脱帽するばかり。
手を変え品を変え、狂ったようにうねり激情の叫びを上げる超絶技巧ギターには目を見張るばかりだが、複雑な楽曲をサラッとこなす凄腕ドラムの正確無慈悲でありながら感情的なフレージング、タフなパワフルさも見もの、もとい聴きどころ。
ヴォーカルは悲痛に叫んでいるような生々しい非デスヴォイス絶叫と、本格デスメタル顔負けのブルータルなグロウルの二軸。
やはり他のバンドと比べてヴォーカルの出番は少なく、インストゥルメンタルにヴォーカルが絡むといった印象ではあるものの、1stと比べて遥かにヴォーカルの存在感は増してきている。
悲痛な感情剥き出しの絶叫は楽曲の煽情力に拍車をかけ、一方獰猛なグロウルがブラックメタルらしい憤怒に満ちた背徳感をマッシブに吐き出している。
そしてなにより、7曲で70分近い作品でありながら、ブラックメタル然りとしたミニマリズムに全く頼ることなく、常に目まぐるしくスリリングに展開し、息の詰まる緊張感を一瞬たりとも緩めることなく集中力を保ったまま聴き通させてしまう凄まじい楽曲構成力は、空恐ろしくすらある。
#1[-]から#7[Dust and Light]まで全てがベストチューンといっても過言ではない。
ドラムやベース含めそれぞれの楽器がそれぞれにテンションの高いフレーズでエネルギーを爆発させながら、それらが寸分の違和感もなく完璧なまでにシンクロし、轟音の濁流となって怒涛のドラマを形作る様は圧巻であり、芸術的と言ってなんら申し分ない。
1stからして既に極まった感のあったバンドだが、2nd3rdと自己のアイデンティティを強固に研ぎ澄ましながらも常に進化を成し遂げてきた、ありあまる創造性とインスピレーションには驚愕と共に底無しの才能を感じざるを得ない。
魑魅魍魎のフォロワーを生んだAlcestと異なり、ひたすら己が道を探求する孤高の革命児の表現する音楽は、新世代ブラックメタルの一つの完全型であるものの、それ自身まだまだ無限の進化の可能性を秘めた「未完の完成」と呼ぶべき次元に到達している。
そんなKrallice通過点の「完成品」である本作、これまでの作品が好きであったら四の五の言わずにもちろん必聴!!
魂を震わせろ!
【お気に入り】
#4[Diotima]:6分あたりからの盛り上がりこそKralliceの真骨頂。
MySpace
http://www.myspace.com/krallice


もうだめだ。Krallice好き過ぎる。