Petrychor:[Dryad]


アメリカ産、自然崇拝ポスト・アトモスフェリック/フォーク・ブラックメタル、2010年デモEP。3曲23分強。
太っ腹にもオフィシャルサイトで無料配布(希望の額で購入可)されている。


【キャッチコピー】
大自然への畏怖と敬意、そして哀しき憧憬を、深い慟哭とどうしようもなく沸き起こる激情に重ねて轟々と発散させる、新世代激情農耕民族ブラックメタル
【一言】
ボトトトズドドドと非人間的高速ブラストを打ち込むデジタルマッチョなインダストリアルドラム、NHK自然紀行のBGMみたいな母なる大自然を讃える雄大な叙情リフ/神々しいアトモスフィアに満ちた神秘的ファ〜ファ〜シンセ、ムーディでありながら狂おしく激情に身を焦がすような高音泣きギター/ソロ、激情に駆られた感傷的トレモロなどが、猛然と荒れ狂う暴風雨が如き轟音となって強烈に叩きつけられる。
【二言】
この手のスタイルの例に漏れず、苛烈な爆裂パートの合間合間に、純朴なアコギがしっとりと叙情を紡ぐフォークパートや、猛吹雪にさらされながら厳しい冬をジッと耐える針葉樹林帯のようなミドルテンポなどを効果的に織り込んだ、ダイナミック・ドラマチック楽曲展開が実に素晴らしい。ポストロック的な方法論による急峻な静と動の対比を用いたカタルシスも見事だが、静寂パートから感情を徐々に盛り上げ流れるように激情爆走パートになだれ込む展開はもはや神懸り的であり、感動の涙を禁じ得ない。
【三言】
ズバリ、Wolves in the Throne Roome + Coldworld +Agalloch
【蛇足】
最近流行りのカスカディアン一派、WITR流アトモスフェリック・ブラックメタル
ようつべ巡りで「こりゃすごいバンド掘り当てた!」と思ったら、すでにこるぴさんとこボヨヨン岬さんで紹介されていた(笑)
WITR的な神秘性と激しい叙情性、Coldworld的に凍てついたシンセと空間形成、Agallochの木目調メロディ・ヘイルトゥマザーネイチャーな世界観をあますところなく盛り込んだ感じ。
ひんやりと冷たい音像なのにじんわりと温かみを感じる独特の質感はまさに新世代農耕系。
アグレッシブな楽曲以上にともかくメロディのテンションが高く、痛切に突き刺さるようなノスタルジーが胸を掻き毟ることこの上ない。
どうしようもない感情に突き動かされたように悶え狂うギターはKralliceをも彷彿とさせ、急激に緩急をつけた楽曲と狂ったように掻き鳴らされるギターはプログレブラック的でもある。
掠れたガナリ声が木霊するヴォーカルはAgallochに似ており、自然の厳しさを切々と歌い上げるような、俗世離れした威厳が感じられる。
やはりヴォーカルの出番は少なく、インストとまではいかないもののバンドサウンドメインの音楽性。
クリーンで奥行きのあるサウンド、それでいて圧倒的な質量感で攻める轟音など、音質も素晴らしい。
Wolves in the Throne RoomSkagosPanopticonAgallochColdworldあたりのバンドが好みであればもんどりうって感涙にむせび泣くこと必至。
というか、彼らをも越えうるポテンシャルを秘めてすらいるように感じる激情ブラックメタルの期待株。
フルレンスが待ち遠しい!!
前述のようにオフィシャルサイトで無料でダウンロードできるので、すこしでも興味が沸いたらぜひ聴いてみて、このメランコリックかつエモーショナルなサウンドスケープの虜になってほしい。
Hypaer Recommend !!
【お気に入り】

#1[Dryad (I Make My Home)]:心の臓根こそぎになぎ倒す圧倒的破壊力。
【オフィシャルサイト】
http://petrychor.com/
MySpace
http://www.myspace.com/petrychor


ちなみに、僕はあまりにも心を掴まれてしまったため、
なけなしの3ドルを寄付しました(笑)