Hakuja:[Legacy]


名古屋の大ベテランFuneral Elegyを率いる、日本が誇る天才ブラックメタラーHakujaによるソロプロジェクト。
2007年自主制作デモが、2008年に名門Drakkar Productions(Apparatia Recordings)よりデジパックで再発されたもの。
かのArkha Svaやこれまた日本を代表する大阪のブラックメタルバンドCataplexyのサポートを務めていたりと、類まれな活躍をしている日本ブラックメタルシーンにおける最重要人物の一人
Drakkarからのリリースということからもわかるとおり、日本産という贔屓目抜きにしてスンバラシイ絶品に仕上がっています


メロウメロウメロウ、とにかくメロウ。爽快に疾走〜爆走する楽曲の上で壮絶に絡まり合い乱舞するメランコリック極まりないメロディが止まることなく怒涛のように襲いかかってくるクサクサメロメロプリミティブブラックメタル
#1[Dropped on Inferna]、#3[Baal]、#4[Black Desire]、#6[Dew of Blood]Funeral Elegyからの楽曲であり、基本Funeral Elegyと同路線だが、あちらに比べだいぶ演奏の整合感が増しており、また音質も良好になっているため耳当たりが良く、かなり聴きやすくなっている。
全体的な雰囲気としては、MutiilationCelestiaなどの陰鬱で物悲しいフレンチプリミティブArkha Svaのようなお耽美プリミティブのようだが、荘厳な寒々しさを湛えたリフはノルウェースウェーデン軽快なツタツタ疾走とメロウなトレモロフィンランドなどの典型的北欧ブラックのようでもあり、叙情的なトレモロにこだわり抜かれた様はKralliceのようでもあり、美しいアコギも交え心を掻き毟る清浄感あるメロディはポストブラック勢のようでもあり、様々なブラックメタルに通ずるエッセンスを感じさせる。しかし散漫になることは決してなく、そのすべてが強烈なオリジナリティを発揮する確固としたHakujaのスタイルを確立するに至っている。ひっっっじょーにレベルが高い。


その魅力は何かと問われれば、メロディが秀逸の一言に尽きる
狂おしいほどに物悲しく嘆き慟哭するギタメロがこれでもかと堪能できる。エモーショナルに湿ったギターの厚みのある歪みが殊更メランコリズムを強調しており、Arkha Svaに匹敵する世界屈指の泣きっぷり
そして、やはり特筆すべきはこの衝撃的なほどメロディアスなベースだろう。おそらくこれほどベースが自己主張するブラックメタルは世界広しといえどもこのHakujaぐらいのものだろう。ギターと競うあうかのようにメロディを奏でるベースラインはポップとすら表現できるほどキャッチーであり、#1を初めて聞いた時などレティクル座行超特急筋少)か!」と思わず心の中で突っ込んでしまったくらいだ(笑)
そうしたギターとベース、そして時折ポロンポロンと美しく物悲しいアコギを絡ませながら紡ぎだす悲愴感一杯のメロディの濁流はただただ圧巻。どうしようもなく胸が掻き毟られる。


ヴォーカルはBurzumishな泣き叫び系。これがまた心に響く悲痛な絶叫であり、自傷的な絶望感悲愴感を強烈に訴えかけてくる
楽曲は適度にバタバタしたブラストやゆったりミッドテンポを挟みながら、スタスタと軽快に疾走するプリミティブスタイル。メロディを目一杯活かすメリハリの利いた曲展開はお見事。


というわけで、究めて極めて高品質なプリブラの、否、ブラックメタルの大名盤。徹頭徹尾メランコリック爆盛り。
まじでHakujaは天才だと思います。このメロディの感性は世界に誇るべき。
そしてメロディもツボですが、リズム感も素晴らしく、疾走感もかなり的確にツボを突いてます。
そりゃNoktu社長も納得だわ。
「あ?日本産?w」みたいに舐めてかかると完膚なきまでに打ちのめされること必至。
誇張でもなんでもなく墓場まで持っていきたいと思ってしまった一枚。
Arkha Svaとか好きな人はもちろん、プリミティブに限らず「広い意味で」ブラックメタルが好きなら絶対聴くべき。
Hakujaまじパネェっす。最大限のリスペクトを惜しげもなく送らせていただきます。


・Myspace#1〜#2[Amakakeru]〜#3の流れが尋常じゃない。