Fenrisulf:[Muerte Mansa]


良くも悪くも(笑)現在最も注目度の高い若手国産プリミティブブラックメタル、2010年2ndデモ。6曲31分強。
最近頑張っているZero Dimensional Recordsさんより200枚限定リリース。手書きナンバリング入り。


【キャッチコピー】
フランス発祥日本進化系・陰鬱なる耽美と狂気に濡れた阿鼻叫喚ロマンティックカルトプリミティブwithキチガイ発狂ヴォーカル
【一言】
ドッタンドドタンポンコツテンポ絡めながらバコバコとRawにブラストする生々しいドラムがヤケクソに疾走し、ズタボロに哀しく鬼メランコリックな美麗陰鬱トレモロをくぐもった劣悪音質でとびきりロマンティックに掻き乱し、ギエエグウェエとLLN染みた極悪極まりない濁声ガナリとキョエエエエひょええええあひゃあああああと先端恐怖症の人を聴覚で殺しにかかるような耳を劈く金切り発狂悲鳴を使い分けるイカレポンチヴォーカルが凄絶にのたうちまわっている。#5[In the falling snow]ではベースも耳を惹くメロウなメロディを奏でている。
【二言】
零次元さんの日韓スプ収録曲の延長線上に当たる作風。これまでもその兆候はあったが、今作ではかなり露骨にArkha SvaManierismeの影響が感じられるようになった。
【三言】
ヴォーカルの鬼気迫るイカレっぷりが尋常じゃない。Vlad Tepesの湿度を上げたような邪悪ガナリも非常にカッコよく激ツボだが、心臓に悪いタイプのブチキレ金切り発狂ヴォイスがとにっかく強烈。#4[Black mind]Silencerもびっくりな狂いっぷり。1stデモ時から凄まじい声をしていたが、作品を出すごとにその熾烈さや声音のスイッチングの急峻さ、総じて表現力に磨きがかかっているように感じる。
【蛇足】
1stデモが素晴らしすぎた(=僕のツボ過ぎた)国産バンドによる2ndデモ
精力的に音源をリリースしてくれており嬉しい限り。
前作デモはフランス臭くも独特の叙情的なトレモロと凄絶な発狂ヴォーカルを携えたLLN系ポンコツプリミティブであったが、今作ではさらにフレンチブラックの陰鬱な湿り気と腐れお耽美なメランコリーに重点を置いた印象。
聴いていて胸が苦しくなるほどメランコリック指数の高いメロディセンスは相変わらず素晴らしく、殊更泣かせるクサクサメロディのわかりやすいインパクトはより強力になった。
#2[The Lost Spirits]なんかは下手するとDragon Guardianなんかで聴けるんじゃないかってくらいクサかったりしてもうたまらない。
とはいえ、ここまで来るとさすがにArkha SvaManierismeの影がチラつき過ぎかなとも感じる。
#1[Muerte mansa]Arkha Sva#3[Emancipation]および#5ではManierismeをモロ彷彿とさせ、他の曲もおおかたそれらに類する雰囲気。
1stデモでは殺伐さと叙情性と壊れ感を兼ね備えた独特の感性が光っていただけに、この辺は正直結構残念だったりする。
しかしながら、海外のバンドに対してもノルウェイジャンやらスウェディッシュやらウクライーニだったり、個性とは別の意味でお国柄というものもあるわけだし、これが国産ブラックのベーススタイルになっていくのかなとも思ったり。
さておき、特筆すべきはヴォーカルだろう。
これはお世辞抜きで世界屈指のレベル。
Vlad TepesSilencerNeige(トンビ発狂)が同居してるようなもんだぞマジで。
朱里さん普段あんなに腰が低くて穏やかなのになんでこんなことに(笑)
ほんと凄いと思う。
あと、やはり個人的にはこのドラムの生々しく荒々しい疾走感がかなりツボ。
実に気持ち良い疾走感が味わえる。
欲を言えばもっとポンコツして欲しかったかな。
と、色々書いたけど、実際のところかなりクオリティは高く、音質含めカルトな世界観と楽曲の構成力はお見事。
某ちゃんねるではネタ扱いされることも多いが、すでに国産ブラックシーンで無視することのできない地位にいるんじゃないかと思う。
新世代国産ブラックを背負って立つ逸材。
キャリアを考えると異例の出世スピードでのし上がっている生え抜きバンドだ。
1stデモの衝撃には及ばない(僕の趣味的に)ものの、それを差し引いても問答無用でオススメ指定。
リリース少ないんでお早めに!!
【お気に入り】
#2[The Lost Spirits]:こんなメロディ、ブラックメタルで聴いたこと無い!!
【傾向と対策】
Arkha SvaManierismeMutiilationMystic ForestHakuja、その他LLNを筆頭にフレンチプリミティブ
MySpace
http://www.myspace.com/blackfenrisulf:次回作は前作路線を所望。