Ampulheta:Neblina


突如としてシーンに躍り出た新進気鋭のギター&ベースヴォーカル二人組、国産Rawプリミティブ・ブラックメタル期待のホープ、2011年デモ
200枚限定CD(ジャケ画像左)、および手書きナンバリング入り66本限定テープ(ジャケ画像右)。
我らがZero Dimensional Recordsよりリリースされた。
CDとテープとで収録曲が若干異なり、CDは6曲20分、テープは6曲24分となっている。
バンド名は、「あんぷるへた」でなく「あんぴゅれた」と読むと人から聞きました。
ちなみに、テープは6/66という最高のナンバーをゲットw


【陰鬱メランコリックなフレンチ・カルトの日本的解釈とガリガリRawプリミティブの寒々しく荒々しい殺伐感・荒涼感が最高カッコイイ国産カルト・プリミティブの超新星!】


ボコボコのポンコツドラムが適度に緩急を付けつつ金物を喧しく鳴らしながらガシャガシャトカトカバコバコと荒々しくRawにブラスト疾走し、ガリガリジャージャーと耳障りに歪んだ劣悪ノイズギターが、フレンチカルト染みた胸を締め付けるどうしようもなく陰鬱な憂鬱感と神経を逆撫でる不快さ・殺気立った狂性を帯びたメランコリック・トレモロ/リフ、プリミティブ然りとした荒涼感を伴った怨念染みた悪意が具現化したよう邪悪なトレモロ/リフを掻き毟り、ゴモゴモとブーミーにくぐもったベースがデロデロと邪悪かつ時折メロウにウネり、腐臭漂うゾンビの喉奥から絞り出されるような、ヒステリックな泣き混じりの白目ひん剥きガナリヴォーカルがギエエエギョエエエギアアアアと凄まじいテンションで悲痛かつ凄惨な絶叫を張り上げまくる。
時折沈鬱なメロディを物悲しげに奏でるオンボロアコギパートも挿入される。


初期Mutiilation初期Celestiaといったフレンチ・プリミティブ影響下の、陰鬱メロディアスかつカルトな雰囲気に満ち満ちたUGプリミティブ。
こう表現するとやはりArkha SvaFenrisulfManierismeといったバンドを想像するが、それは遠からずといえども当たらず、このAmpulhetaはそれらほど腐れお耽美主義や倒錯的ロマンティズムに傾倒しておらず、ガリガリとした殺気立った荒涼感や寒々しく殺伐とした雰囲気が強く、よりプリミティブ然りとした音像。
しっかりと陰鬱かつ胸を締め付ける儚さ切なさも滲ませた慟哭メロディには、暗黒神秘的な深遠さや背徳感も感じられ、意外と西欧ブラックのような硬派かつストイックな聴き応えがあり、実にかっこよい。
ピンと張りつめた決壊スレスレの緊張感とともに、屍臭漂うヤバ気な瘴気が立ち込めており、この辺りはLLNを筆頭としたUGカルトと趣を同じくする雰囲気を上手く演出できているのではないだろうか。
意図的に汚したであろうギャリギャリボコボコの劣悪音質も、どうしてもそこに作為を感じとってはしまうものの、予定調和というか、作品の世界観を構築する上で必要不可欠なピースとして機能していると言えるだろう。
また狂気まみれの鬼気迫るヴォーカルワークも素晴らしいの一言。
このヴォーカル、先日の黒犠牲で女性であることを知って心底驚いたが、確かに女性っぽいヒステリックさが入り混じった怨声であり、先入観もあるかもしれないが、声質としてはTuman(Tymah)を彷彿とさせる。
歌詞なんてあろうはずもなく(あるのかもしんないけどw)、ただただ狂気の赴くままにギャァギャアと絶叫し発狂する様は凄まじく、御両親の心情が心配される。


さて、テープとCDでは収録曲が違うと発売前からアナウンスされていたが、異なるのは一曲目のみであり、残り5曲は共通となっている。
CDの#1[#]はズゴゴゴゴという圧迫ノイズの向こうで怪しげなメロディがちらりちらりと浮遊する一分ちょっとのダークアンビエント曲。
一方テープの#1[Karma]ガリガリメロウな本気プリミティブチューン。冒頭から切なさ込み上げるようなメロウなトレモロで疾走し、物悲しげに奏でられるアコギとHakujaを彷彿とさせるメロウなベースによる儚くも切ない叙情パートを挟んだ後、ガッツポーズクラスに泣かせてくれるトレモロとメロディアスなラインを紡ぐベースとが絡み合う疾走パートへと雪崩れ込む悶絶曲となっている。
もうこれは、もし片方だけ買うとしたらどっちを買うべきか一目瞭然だろう(笑)
CDの方の#1は、自分がダークアンビエントを解さない門外漢だからというのもあるが、正直あっても無くてもどっちでも良いなと感じる(笑)
また#4[Bloom]は物寂しげな雰囲気と仄かな温かみを振りまきながら叙情的に奏でられるオンボロアコギとパーカッションによるインスト曲であり、ラストに向けた良いクッションとなっている。


というわけで、なかなかどうして気合の入った国産UGプリミティブの快作。
国産ブラックらしい胸を締め付ける陰鬱メランコリーとプリミティブ・ブラック的荒涼感を絶妙に両立したメロディは実際かな〜りツボだ!
そしてベースまでメロディアスなのはやはりポイント高い!
ボコボコのドラム、狂気の絶叫、ガリガリの劣悪音質と、シンプルにUGプリミティブの本質を体現した真性っぷりには脱帽しきりである。
ややもすればナルシストなメロディがクド過ぎるフレンチ系国産プリミティブの中にあって、このストレートさは稀有なのではないだろうか。
この辺の感覚はFatal Desolationにも近いかなという印象を受けた。
なので、国産ブラックはクサ過ぎる、という人でも楽しめるのではないかと思う。
言うまでもないですが、僕はガッツリ楽しんでますよ!w
ライブパフォーマンスもかっこよかったし、是非とも頑張ってもらいたいスーパー新人ですね。
テープもCDもまだ在庫あるようなので、未入手の方は今のうちにゲットすべし!!
そんでもって#1がかっこいいので、やはりCDよりはテープ推奨!!


【お気に入り】
Tape#1[Karma]:ギターもアコギも良いけど、やっぱりベースに耳が行ってしまうよね。
【レーベルサイト】
http://zero-dimensional.com/index.html
MySpace
http://www.myspace.com/ampulheta

なお、狙ってなのかミスなのかわからないが、テープB面には再び#2[Aria]〜#6[Regret]がまるまる収録されている。
最初は、まさかボーナスでCDバージョンが収録されているのか?と思ったが#1を収録しなきゃ意味が無いと思うので、割と謎w