Pagan Reign:「Tverd」
今現在のヴァイキング/ペイガンシーンの頂点に君臨するバンドであり、そしてこれからもこのバンドを超える者は現れないだろうと思われる生ける伝説Pagan Reignの2006年4th。
現代に生きる孤高のスラヴォニアン戦士Oreiの描く叙情絵巻第4章。
哀愁ダダ漏れな激クサツインギターにアコギ・フルート・パイプ・マンドリンなどを豪華に用いて次から次へと紡ぎだされるやり過ぎ感満載な民謡叙情メロディは前作までと何も変わらず、そこに戦士の生き様を高らかに謳い上げるOreiの悲壮感漂う絶叫が乗っかる見事なまでに完成されたメロディック・フォーク/ペイガンメタル。
今まではゆったり横ノリリズムにここぞと疾走〜爆走を咬ませてくるドラマチックな音楽性だったが、今作ではよりファスト・ブルータルな方向にシフトしており、緩急をつけつつ爆走しまくる過去最高にアグレッシブな内容となっている。それにあわせてかキーボードが影をひそめ、かわりに音質が馬鹿みたいに良くなっており、メロブラ顔負けの音圧で突進する様は圧巻。
哀愁溢れる勇壮ギタメロには確かにMithotynの血が脈々と受け継がれており、ロシアン民謡を巧みにアレンジしつつハモリまくり泣きまくりのツインギターに胸が熱くなる。
そしてこのバンド最大の武器の一つである、フルートを筆頭にさまざまな民族楽器による恥ずかしくなるほどのフォークロア・アレンジは相変わらず凄まじい殺傷力でもって民謡メイニアを片っぱしからヴァルハラへと送る始末。もちろんそれらとギターの「元祖聴いていてバカになるユニゾン」もたっぷり堪能できる。
とどまることのない土着的な郷愁メロディが所狭しと氾濫する中、主役はあくまでギターであり、戦に生き、戦に死んでいく雄々しく悲しい戦士がたった一本の剣に託した魂と誇りを代弁するメロディに感涙のガッツポーズを禁じえない。
キラキラKeyが無くなったためにシンフォニック・フェアリーテイル感は薄くなっており、これもPagan Reign唯一無二の武器であったために多少残念な気もするが、よりストロングでヴァイキングらしい武骨さを備えるに至っているので僕はこれを評価したい。
またアグレッシブになったとはいえ静かで美しいアコースティックパートは今まで同様随所に挿入されており、とめどなく溢れ出る民謡というスタンスは全く変わっていないのでその辺は心配無用。
頭っからケツまでクライマックスの連続。
前作までの落ち着いた雰囲気に比べてずいぶんとハッチャけたもんだから最初は戸惑ったけど、これまでだって民謡クサ爆走がこのバンドのウリだったわけだし、実際やってることにそれほど変化はないとも言える。だいたいみんな好きでしょ、こーゆーの(笑)僕も好きです(笑)
Oreiの類希なセンスによって細部まで練り込まれた楽曲群はとてつもない完成度を誇り、Pagan Reign以外何者でもないサウンドでありながら、かなり洗練された印象を受ける。
しかし、それが故1stの頃のイモっぽさはあまり感じられず、あの土臭い田舎臭さが「味」だっただけに個人的には過去作ほどのめり込めはしないかな、というのが正直なところ。
とはいえ、前作までのファンはもちろん、ヴァイキングメタラーを自負するならまず聴いとかなきゃいけないアルバム。
とゆーか、このバンドのアルバム一枚も持ってないような人間を僕はヴァイキングメタラーとは認めません(笑)
最後に言わせていただこう。「悶絶」。