Cor Scorpii：[Monument]
ノルウェーはSogndal産、フォークロリックブラックメタル、2008年1st。
今は亡き偉大なるValfar大将の血肉と魂を受け継ぐWindirの後継バンド。
Windirのメンバー（Gt.、Key.）が新たなバンドを始めるということで、Windirを心底崇拝している自分としては期待半分不安半分だったんですが、そんな不安など杞憂どころかおこがましいとすら感じさせるほど徹頭徹尾ド悶絶クサ民謡メロが塗りたくられた、Windirの血族を名乗るのにふさわしすぎる一枚。
ドラスティックに緩急をつけつつ基本ブラストで爆走するハイテンションかつアグレッシブな極寒ブリザードメロブラに、悲愴なる勇猛感と凄まじい哀愁を放っている泣きまくり民謡クサクサギターとシンフォニック＆アトモスフェリックKeyが乗っかるオーロラ系激ドラマチック鬼哀愁メロディックヴァイキングブラックメタル。
クサい。とにかくクサい。
民謡をあくまでブラックメタルとして取り込んだ慟哭の高音単音メロディ・バッキングのセンスや舞踏曲のようなベースラインは、まさしくWindirそのものと言っても過言ではない。Windir2ndのこれでもかってほどクドくドギツイ哀愁叙情メロと3rd・4thのブラック然りとした怒涛のバンドサウンドが両立したような非常に素晴らしいサウンド。
とにかくこの泣きながら輪舞しているような、悲劇的なヒロイックさとアコーディオンっぽい牧歌感を持ったクッサクサのギタメロが狂おしいほど煽情的で、聴いていて胸がズタズタに切り裂かれるような切なさとともに魂に薪がガンガンくべられ熱くなる。まさに涙ながらのガッツポーズ系。たまりません。
またファ〜ファ〜と荘厳で冷たいアトモスフェリックKeyも効果的に楽曲に漂う寒さやメランコリズムを演出しており、#4や#8などでは牧歌的なメインメロを奏でたりとの大活躍ぶり。3rd以降のWindirで聞けたBurzum[Tomhet]のようなポロンポロンした鍾乳洞系Keyやクワイア、ピアノなど多様な音色を効果的に用いて叙情味たっぷりドラマチックに楽曲を彩っている。
ヴォーカルは悲愴感を強く訴えかけてくるブラッキーな喚きガナリ絶叫。Valfar大将に似ているがヒステリックな泣きの色が薄くよりハスキーというか邪悪な喚き感が強い。喉から血が出そうなほどハイテンションかつヤケクソないい声。
Windirお約束のエエ声テノールヴォイスによる憂いに満ちたオペラ調の詠唱ももちろん完備。Windir同様絶妙なタイミングで楽曲に絡んできます。
音質は非常にクリアかつパワフルな、豪華絢爛で派手派手しい素晴らしい音質。ストリングス感の強調されたギターの音色がモロWindirで泣ける。
というわけで、Windirの復活と言ってしまって全く差支えないであろう至極の名盤。
冒頭に書いてあるとおり、しょっぱなから終わりまで徹頭徹尾クサメロの宝庫であり、どの曲も甲乙つけがたいほどに素晴らしい。全編クライマックス。
Windirの新作と言われたら確実に納得してしまう（というかある意味Windir4thよりWindirらしいｗ）くらいWindirWindirしており、正当にWindirの後継たる貫録を感じさせるが、そこに押し留まらない意欲とオリジナリティをも感じさせるサウンド。
これならヴァルハラにおわしますValfar大将も浮かばれることだろう。
Windirファンはもちろんクサメロ爆走が好きな全てのヴァイキングメタラー・クサメタラーは必聴必涙の一枚。
これを効かずしてヴァイキングメタルは語れない！！
