STRIBORG :「Embittered Darkness / Isle de Morts」


タスマニアンデビルなんて素敵な名前の動物がいらっしゃる南国からお越しの独り【お化け屋敷】ブラックメタル STRIBORG
・・・・・・タスマニア。来るとこまで来たなぁ。まさか自分が10年後、タスマニア産のワケわからん気違いじみた音楽聴いてるなんて、あの頃の純真無垢なサッカー少年は夢にも思っていなかったのになぁ。どこでおかしくなっちゃったのかなぁ。素敵な大人になれなくてごめんよ、十年前の俺・・・・・・
なんて感傷に浸りつつww
あまり有名ではないけど、一線を越えてしまったUGブラックマニアの間では結構評価が高くて、音楽性もあわせてそのへんもカルト・ブラックたる証です。このアルバムは96年、97年の音源を抱き合わせて再発されたお徳用アルバムっす。
ジャケットはタスマニアの森かなんかかな?ブックレットの中身も雪の積もった森の景色だったり。まぁ森林はブラックメタルの基本(?)ですよね!w


①「Embittered Darkness」#1〜#6
96年の音源。 BURZUMFilosofem をさらにプリミティブかつミサンスロピックな方向に推し進めたような、ミドル〜スローテンポを軸にひたすら単調なアンビエント・プリミティブ・ブラックメタル


まず一聴して気付くのは徹底的に重さが排除されたその音作りスポポポスポポポトコトコトコとまるでおもちゃのようなポンコツドラムに、もはやラジオの砂嵐ノイズと大差ないチリッチリギターベースに至っては音の識別すら不可能。プリミティブにしてもここまでスカスカなバンドはそうはいない。メタル耳からしたら全く酷くて聴けたもんじゃないと思うけど、そこがフェチにはたまらない(´Д`*)


そして Nocturno Cult(@ Darkthrone)をさらに強烈にしたようなガリガリのボーカルがうめくように吐き出す呪阻は完全に人間の喉から出せる音を超越していてEvil極まりない。曲によっては「ブリリリリリ、ゴリ、ゴリ」喉の奥で石臼でもひいてんのかってくらいのガナリっぷり。これが非常に音楽性にマッチしていて、個人的にものっそ好みの声質。


ダラダラと垂れ流される不穏なリフはひたすらに陰鬱で、浮遊感漂うクリーントーンのギターやアンビエントなキーボードとあいまって、怪しく、かつ妖しく、つかみどころの無い空気感。特に神秘的で霊気さえ漂っているキーボードがのっかってくるとなんともミステリアスで、まさしく【お化け屋敷】ブラックメタル


音質、ボーカル、曲がそれぞれ徹底的に厭世的で、それらが重なりあって作り上げられたモノトーンの音世界はまさにブラックメタルでしかなしえない極寒の極地。ある意味ブラックメタルの究極体の一つかもしれない。暗く沈み込んでトリップしたいときに最適の音源。


②「Isle de Morts」#7〜#16
97年の音源。とは打って変わって、もっぱら2ビートでプリミティブなリフを繰り返し、時折メロウなギターが顔を出すといった典型的 Darkthrone タイプのプリミティブ・ブラックメタル
こーゆーと、なんだ、個性が無くなったのか、と思うせっかちな人がいるかもしんないけど(笑)ところがどっこい、これがめちゃんこかっこいいのです!!!(力説)


曲調が違うとはいえ根底にある暗黒の波動は全く変わらず、鬱蒼とした地下メロディはむしろプリブラだからこそよりいっそうの輝きを放っています。えぇ、もちろん黒光りですよ?
やはり怪しさという点では劣ってしまうけど、そのかわり寒気すら覚えるほど単調で壊れたように突っ走る狂気のブラックメタルで、本気度◎、真に迫っています。


それにしてもこのボーカルほんとかっこいいなぁ。ガナリとうめきを両立させたようなスピーカーを破壊せん勢いの割れボイスもさることながら、ドナルドダック一歩手前の悪魔の赤子が如き喚き声にはうっとりしてしまうよ(悦)楽曲に漂う病んだ感覚はこのボーカルによるところが大きいね。
あとドラムもか。ひたすら淡々と同じリズムを刻みつつシンバルを狂ったかの様に叩きまくる様は圧巻。特にシンバルはホントぶっ壊れた感覚を助長してる。


音質はやっぱりスカスカだけど、の独特な系統とは違って、わりとUGブラックにありがちなタイプのチリチリポンコツな音。ラフな演奏を際立たせる理想的なチープ具合。
ただ、普通この手のバンドはボーカル遠くてなかなか聞き取れなかったりするけど、この音源は全く逆でやたらボーカルがでかい。だからギターわかるくらい音量でかくすると病んだボーカルが脳に直撃するっつー極悪仕様(笑)


【総括】
は病みまくった脱力系だらだらブラック、は鬼かっこいいRawなイカレ・プリブラと、全く違った音楽性ながらそのどちらでも研ぎ澄まされた邪悪な感性がギラリと光るまさに名盤
特には個人的嗜好ど真ん中なんで、死ぬほど気に入ってしまった次第(o´д`o)
しかしこれ、どー考えても南国出身の寒さじゃないww
唯一のメンバーの Sin Nanna は一体どんな幼少時代を過ごしたのかと心配になってしまう。友達とかいなかったんだろうなぁ(笑)
真性ブラックファンを自負する人は是非ともご賞味あれ。