Eisenwinter:「Verkommen, entartet und verreckt」


既に解散してしまっているスイスの独りNSブラックメタルEisenwinterの2007年1st。テープリリースのCD化再発。ジャケがシュール。
このバンドは前々から気になってたんだけど、デモ音源は軒並みテープリリースであったため二の足を踏んでいたところで、待望のCD音源です。
クレジットが11曲なのに9曲しか収録されていない(おそらく数曲がまとめられている)、この手の音源にはおなじみのいい加減さがいっそ清々しい(笑)


想像していたとおり、シャリシャリの劣悪音質でメロウかつパンキッシュに駆け抜ける爽快プリミティブ・ブラックメタル。パンクっぽくなったGoatmoonといったところか。雰囲気はVlad Tepesからオカルト分を抜いた感じ。
やたらめったらシャンシャン打ち鳴らされるシンバル類、ポンコツドラムがツタツタトコトコと単調に2ビート疾走をかますヤケクソ気味な楽曲が続く。
耳が痛くなりそうなギャリギャリペラペラのギターにより掻き鳴らされる、Transilvanian Hungerスタイルを青臭くしたような青春トレモロがキャッチーなことこの上なく、晴れ渡るほど明るく爽やかなのに切なく愁いを帯びた極上メロウリフが最高すぎる。これは好きモノには堪らないはず。


ヴォーカルはLes Legions Noires系の低音濁声ガナリ。病みきったガリガリのヤサグレボイスでグウェーーーと邪悪にガナっている。すてき。


というわけで、ボロボロの音質がマニア心をくすぐるポンコツかつ鬼メロウなプリミティブ・ブラックメタル
とにかく衝動の赴くままに突っ走る前のめり感と、強烈にメロウかつどこまでも爽やかなトレモロが発散する青臭い爽快感ったらない。NSプリミティブらしくパンク色が強いためスカッと気持ち良く聴くことができる。
9曲18分と収録時間が短いため、やはり物足りなさはぬぐい切れないが、素晴らしい音源には違いない。
メロウ・プリミティブファンの方は是非お手に取っていただきたい一枚。


・Supremacy Through Intolerance Productions(Label)