Bekhira:「L'Elu du Mal」


フランス、RAW・メロディック/プリミティブ・ブラックメタルBekhiraの名作と名高い2005年1st。フランスのAura Mystiqueより。
ほとんど音源も出さずに95年から活動している長寿三人組(ギタリストは一人だけど、録音はギター二本)。一時解散したかと思われるも2004年にひょっこり現れるなどなかなか得体の知れないバンド(笑)
ブックレットのクレジット欄には

Recorded somewhere at a certein time...
No contact. No interview. No thanks. No human feeling needed!
A thousand Demons to worship, only one desire... Armageddon!

としか記載されておらず、今時珍しい骨の髄までミサンスロピックな方々のようで微笑ましい限りだ(笑)


いったいどれだけ人を寄せ付けない音をしているのかガクブルと思って聴いてみると、
Satanic Warmasterあたりがとびきりメロディアスになったような非常に聴きやすい作風なわけで(笑)
とんだツンデレさんだw


基本はプリミティブ然りとして荒々しく疾走しまくるスタイルで、フレンチ・ブラックより北欧寄り。常に掻き鳴らされるわかりやす過ぎるほどメランコリックなギタメロの破壊力が絶大で、初っ端からアドレナリンフル放出で突っ走るメロウなナンバーが続く
また、ヴァイキングのようなメロディやクリーントーンのギター、大々的にKeyをフューチャーしたシンフォニックな展開などを絶妙に織り交ぜた楽曲群はメロブラ顔負けのドラマチックっぷり
「プリブラ版Naglfar」と紹介されているのを多少見たことがあるけど、まさにそんな感じ。
寒々しい豪雪地帯メロを撒き散らしながらスタスタ疾走する時の快感はもう筆舌に尽くしがたい(´Д`*)ハァハァ


ヴォーカルは誰かに似てる(誰だかは思いだせないw)中音〜高音のガナリ系。最初ちょっとパワー不足かなと思ったけど、曲が進むにつれ慣れてきたのかジワジワと悲壮感が感じられてこれはこれでアリかな。


また音質は、ザラついてRAWなプロダクションながら各楽器のバランスがとれていて、吹きすさぶ吹雪の様な轟音の向こうに繊細さが見え隠れするかなり洗練された音作り。荒涼としつつ荘厳な雰囲気もする天晴な聴き応え。


開始一秒から最後の一秒まで全編クライマックス。お腹いっぱい。
Satanic Warmaster3rdと並んでまさしくメロウなプリミティブ・ブラックメタルの金字塔的アルバム
北欧ブラックの寒々しさに香り立つフランスっぽさがいいスパイスとなっていて、テンションの高いメロディは素晴らしいの一言。
演奏もしっかりしていて、実際やってることはメロブラみたいだから極悪プリブラマニアには甘すぎると感じる人もいるとは思うが、初心者から玄人までブラックメタルが好きな人なら聴いていて失禁してしまいそうな程かっこいい
そーゆー意味では、作風は違うけど初期Dark Funeralと同系列に上げてもいいかも。
プリブラが苦手だからと敬遠していたらあまりにももったいない!!な全ブラックフリークマストの一枚
恐るべしフランス。


※オフィシャルサイトやマイスペなんかあるはずありません。


追記(2008.4/8)#1を巻き戻すと隠しトラックであるIron Maiden"Prowler"のカバー曲が聴ける。元の曲は知らない(どんだけ〜)けど、ナイス哀愁曲です。