Skógr:[Skógr]


アメリカはアイオワ州自然派ブラックメタル2人組、2013年デモ。6曲22分弱。
自分は自主制作の30本限定テープを入手したが、Bandcampにて全曲試聴可能。


【ザラついたプリミティブな質感のカスカディア派生メロウ&爆走ブラックメタル!】


古語で"Forest"というバンド名やそのロゴ、ジャケット等からわかるように、ペイガニズムや自然をテーマに据えた北米ブラックメタル
アメリカ出身で自然派というと、すわカスカディア系かと勘繰ってしまうが、どっこい音の方はプリミティブな質感の強い疾走メロディックブラック。
ザラザラした粒感のあるギターがコールドかつメランコリック極まりないブリザードリフを掻き鳴らし、ギャアギャア喚きながらツタツタスコスコドカドカと軽快爽快に突っ走る。
アトモスフェリック感の強いカスカディア系と言うよりは、Mourning ForestAorlhacのように邪悪さや陰湿さよりも叙情性や胸を打つ慟哭に重きを置いたクサ味のあるフレンチメロディックブラックに近い音像だ。
徹頭徹尾ピンと張りつめたテンションの高いメロディと生き急いでるんかってくらい突っ走りまくるドラムのせいでどことなく焦燥感を煽られる感じがたまらない。
そんなフリージングな疾走メロブラの上に時折絡んでくる、カナダのTransylvaniaを髣髴とさせる星降る夜系クサ・ロマンティック・ギターソロがこれまた素晴らしいことと言ったらない。


またカスカディア系と言えば10分超の長尺曲の中で緩急や静動を駆使しながらドラマチックに楽曲を紡いでいくことが特徴的だが、このSkogrはしっとりしたアコギによる静寂パートなども適度に絡めてはいるものの、4〜5分程度の比較的コンパクトで展開もシンプルな疾走曲ばかりであり、一般的なブラックメタルの感覚で聴くことが出来る。
しかしながら全体的に、旧き良き暗黒美学のブラックメタルよりは、ポスト世代に通ずる喉越し爽やかな琴線刺激系の叙情性が感じられ、#3[Apparition in the Timberlands]等あからさまにポストロック風味のフレーズやシューゲブラック風の高音トレモロを用いたりなど、やはりカスカディア系に列する新世代スタイルと言えるのではないかと個人的には思う。


というわけで、冷たくも叙情的な疾走メロブラの快作。
純粋にこういうプリミティブ感の強いメロディックブラックスタイルを好きな人、多いんじゃないですかね。
難を言うとすれば前述のように楽曲が疾走一辺倒過ぎてちょっと単調過ぎることだろうか。
もうちょっと劇的なメロディを生かす展開とか工夫するとさらによくなる気がする。
また打ち込みドラムが、もう「如何にも打ち込み」って感じなのも好き嫌いが別れるかな。
とはいえメロウレベルは申し分なく、メランコリック押しの疾走ブラックとして実に質が高いので、そういった嗜好をお持ちの諸兄には是非ともチェックしていただきたいバンドである。
本作は既にバンド側でSold Outであるため、視聴して気に入った方は本作の後にHumanity's Plague Productionsより500枚限定でリリースされた1stフルレンスを、そちらも素晴らしい出来なので購入されることをオススメする(我らが零次元さんにも入荷されてますよ!)。
ちなみに本作テープはバンド側ではすでにSold Outだが、1週間くらい前だったかNo Colour Recordsがまだちょっと在庫あるよーと言っていた気がするので、テープも欲しい!と言う酔狂な方はコンタクト推奨。


【お気に入り】
#4[Skógrund]:メロメロ疾走ktkr!
【オフィシャルサイト】
http://skogrofficial.blogspot.jp/p/home-page.html
【Bandcamp】
https://skogr.bandcamp.com/
Facebook
https://www.facebook.com/SkogrOfficial



#3[Apparition in the Timberlands]も素晴らしいのでオススメ。