Sallow:[I: The Great Work]/[II: Corpses & Ruins]


大和TROLLの今年の推しバンドの一つ、アメリカはNYC産の若手アトモスフェリック・ブラックメタル
写真左は2015年4月の1stデモで4曲32分弱。
右はその一か月後にリリースされた2ndデモで2曲25分半。
どちらも自主制作100本限定テープとしてリリース。


美しく物悲しいメロディを巧みに展開しながら駆け抜けるメランコリック自然派ブラックメタル
自然をテーマに据えたUS若手長尺アトモス系ということで、カスカディア系に準ずるサウンドではあるものの、そんなニッチな嗜好には収まらないブラックメタルとしての魅力を感じさせてくれるバンド。
荒々しく叩かれる苛烈なドラムとメロウなメロディで疾駆するトレモロ疾走パートを主軸に据えつつ、時にアコギも絡めてしっとり叙情を紡ぐスロー〜ミドルパートを織り交ぜたダイナミックな楽曲や、自然的な感覚を想起させる奥行きのあるアナログ風味の音質、森林系の湿り気を帯びたメロディは如何にもカスカディア系のそれ。
そんな中でこのSallowが優れている点の第一は、そうしたカスカディアンなセンスと共にブラックメタル然りとした陰鬱感や寂寥感を絶妙なバランスで両立している点だ
オーセンティックなブラックメタルに比するとシャレオツ気味ではあるものの、ある種ディプレッシブとも言えるトレモロが主導する仄暗いメランコリーと、新世代特有のスタイリッシュさを感じせるメランコリーの狭間をドライブしながら、あくまでポスト・ブラックの領域には踏み込んでいない塩梅のメロディセンスが素晴らしい
さらに素晴らポイントその二は、テンポやテンションの緩急とメロディ捌きの細やかなアレンジを駆使した楽曲展開だ。
特に2ndデモ#1[Ashes Fell to Earth]「手を変え品を変えず」といった感じで、アレンジを加えテンポを変え表情を変えながらメロウ極まるフレーズを掻き鳴らし続ける疾走メランコリーな展開が炸裂しており胸を打たれてやまない。


というわけで、2010年代のUSブラックメタルとして注目しておきたいバンドだ。
今回は二作まとめての手抜きレビューではあるが(笑)
どちらの作品もBandcampでデジタルアルバムを安価で購入することが出来るため、カスカディア・ファンを始めアトモス系を好む方に是非とも聴いてみていただきたい。


【お気に入り】
2ndデモ#1[Ashes Fell to Earth]ブラックメタルとしてカッコよし!
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【Bandcamp】
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