Black Mist：[Midnight Christian Slaying]

アメリカ産、プリミティブブラックメタル、2010年EP。7曲39分半。
LLN関連のブート音源を乱発している悪徳レーベル(笑)Black Metal Cult Recordsより100枚限定でリリース。手書きナンバリング入り。

【キャッチコピー】
21世紀何ぞやとUGプリミティブの原理主義的ストイシズムを頑なに遵守するダストボックス系地下室カルトプリミティブ。
【一言】
生っぽさが地味にかっこいいシンプルな音でドタドタミドルテンポ〜ツタツタ2ビートを淡々と叩くポンコツドラムに乗せて、シャリシャリジリジリとプリミティブ然りとチープかつ薄っぺらに歪んだギターが、殺伐としていながら実は割とメロウなトレモロやオールドスクールなリフをひたすら無気力に垂れ流し、ギエエグエエと強烈に邪悪な濁声ガナリが押し殺すようにジワリジワリと怨念を吐き出す。ベースレス。
【二言】
先日紹介したヘイル・ポンコツメロウなEP[Nocturnal Ritual]からわかりやすさがそぎ落とされたようなかなりストイックな内容。カルトな地下室プリミティブ志向が強く、おかげでかなりミサンスロピックな雰囲気。
【三言】
ヴォーカルが邪悪極まりない。LLN系の喉を酷使した死霊系ガナリ声をジメっと湿らせたような、まるで仄暗い井戸の奥底から響いてくるかの如きEvil極まりない怨声。何言ってんのかなんてわかるはずもない。#7[Into Self Destructive Pleasures]ではBrocken Moonを思わせる自殺系じみた発狂ひっくり返り高音絶叫も披露している。
【蛇足】
2007年結成アメリカ産とはとても思えない若手バンドによるEP。
いわゆるDarkthrone三部作フォロワーだが、日の光が当たることの無い地下室のカビ臭い臭気に満ちた雰囲気はLLN系極悪ブラックメタルのそれ。
一聴するとかなり地味かつストイックな作風だが、しかしジリジリしたリフは何気にいい具合にうすらメロディアスであり、次作の鬼メロウ路線に続く確かなセンスが感じられる。
#5[Possessed by the Goat Lord]では切れ味鋭いスラッシーなリフなんかも炸裂している。
特筆すべきは「真にブラックメタル極めたらブラストなんて必要ないんだぜ！決して叩けないわけじゃないんだぜ！」と言わんばかりに、微妙にドコドコ2バスに挑戦しながらも終始ドタドタポンコツに徹するドラム。
この絶妙なサジ加減はスキモノにはもう堪らないんじゃなかろうか。
ボコボコのリズムで延々殺伐としたリフをリフレインして、ジワジワと陶酔できるUGプリミティブならではの感覚が楽しめる。
必要最低限にしか打撃しないヘッポコドラムをはじめ、ギターもヴォーカルも基本的にダラダラしているのでやる気は一切感じられないが、殺る気はそこそこに醜悪。
しかしベースレスの薄っぺらでチープな音質、テクニック無用の危うい演奏をはじめ、これは生粋のメタラーさんには聴くに堪えないレベルだろう(笑)。
故に万人にオススメとは口が裂けても言えないが、この手のバンドを貪り喰らうマニアな方は買って損はないかもしれない。
ごくごく狭い層のニッチなツボは的確についてるんじゃないかと個人的には感じるが、まぁ特別マスト！と言うほどのものでもないわな。
有象無象の魑魅魍魎バンドの一つではあるが、メロウなリフの琴線刺激レベルが地味に高く、ポンコツメロウフェチを自認する僕としては結構楽しめてます。
October's Mist Recordsからリリースされた上述のEPを買って、僕みたいに死ぬほど気に入ったとかだったら、こちらも買ってみるといいだろう。
【お気に入り】
#4[Blaspheme the Holy Church]：哀しさ炸裂のメロウリフ。
【傾向と対策】
Darkthrone亜種、Satanic Warmaster系列、LLN系ポンコツプリミティブ。
【オフィシャルサイト】
http://666blackmist666.yolasite.com/
【MySpace】
http://www.myspace.com/666blackmist666