Fatal Desolation:[Cold, Starless, Moonless]


日本は仙台発、プリミティブ・ブラックメタル5人組、2011年1st。8曲37分弱。
HailYour Majesty零次元レコ―ズよりリリース。僕が購入したのは通常盤。
66枚限定のDVDケース盤には3rdデモCDが付属している。


【キャッチコピー】
寒々しく荒くれた荒涼感と邪悪の初期衝動でもって陰鬱かつ哀愁漂うメロディをガリガリと粗削る、Darkthrone直輸入系・国産真性地下室カルト・プリミティブ
【一言】
スコスコ2ビートとドガドガブラストを織り交ぜながら緩急つけて荒々しく疾走するラフなドラム、モロDarkthroneな悪意の濃密に詰まった邪悪な攻撃性とスラッシーな切れ味を持ったカミソリリフ、独特の怪しげなメロディを奏でる薄気味悪いリフ・トレモロ、黒い慟哭に身を焦がすような寒々しくもメロウ極まりない哀愁を発散するトレモロ、ビコビコベンベンとガランドウのドラム缶を叩いているかのように腹に響くパーカッシブな邪悪ベース、Nokturno Cultを悲鳴色マシマシんいしたような狂気まみれの悲痛かつ強烈な高音ガナリ絶叫等が絡む。タイトルトラック#7[Cold, Starless, Moonless]では星降るようなクサメロKeyも挿入される。
【二言】
初期ノルウェイジャン、もといDarkthrone三部作にモロ影響を受けている地下室プリミティブ。しっかりと練り込まれた湿った哀愁漂う叙情メロディや、ヤサグレつつも勇ましい、ほんのり香るクサさはInfernal Necromancyをも彷彿とさせ、やはり国産ブラックらしい優れたメロディセンスを発揮している。
【三言】
ガビガビと割れて籠ったRawな音質はまさにUGブラックの鑑だが、ノイジーかつラフでありながら各楽器はしっかりと聞こえ、2本のギターの絡みやドス黒く響くベースそれぞれのメロディを堪能することが出来るあたりも、国産ブラックらしいカルトへの憧憬と丁寧な音づくりの姿勢といった、ある種アンビバレンツな精神性が感じられる。
【蛇足】
リリース前後から話題沸騰中の2009年結成、国産期待の新人。
国産バンドといえば、Arkha SvaManierismeFenrisulfといったフレンチかぶれの腐れロマンティック外道タイプ(褒め言葉)がここ数年とみに人気を博しているが、このバンドは#8[Skald Av Satans Sol]Dakthroneの名曲をカバーしていることからもわかるように、至極真っ正面なDarkthroneフォロワー。
それもそのはず、このFatal DesolationはそもそもDarkthroneのコピバンとして立ち上がったんだとか。
劣悪極悪の音質、神経を逆撫でるようなささくれ立ったヒステリックさのリフ、粗雑で醜悪な空気を醸し出す邪悪極まりないベースなど、Darkthrone三部作の世界観の再現度がすこぶる高く、言われなければ国産とは気づかないと言ってしまえるクオリティだが、非常に煽情力の高いキャッチーさのメロディや繊細に練られたリフ捌きからは国産ブラック独特の「匂い」が感じられる。
楽曲を先導するギターリフもさることながら、ベースがいちいちかっこいいのがツボ。
また気が触れたような狂気に満ちた残忍なヴォーカルも強烈であり、ギャァギャアと血管ブチキレんばかりに叫び喚き散らしており、実にかっこよし。
グウォグウォとくぐもったようなブラックガナリグロウルも披露したりなど、押し引きの演出も真に迫っている。
ブラックメタラーの魂に訴えかける原初のブックメタルは、やはりストレートに、猛烈にかっこいいです。
ルーツへの真摯な崇敬と、それへの自己解釈を研ぎ澄ました根のあるオリジナリティを両立させた、非常にハイレベルかつ完成度の高い素晴らしい内容。
前述のフランス系一派に対応させるならば、SSORCCataplexyAmdusciousといった北欧ブラックに芯を置いている国産真性プリミティブ勢に数えるべき音楽性。
というわけで、前述のような国産ファンは言うまでも無くマスト中のマスト、そうでなくとも、Darkthroneが好き、それすなわちブラックメタラーと自負するような日本人であるなら、聴いておかねばならない一枚。
Great!!
【お気に入り】
#4[Duskfall]:開始直後にハッとさせられる邪悪かつ悲愴なメロディに悶絶失禁。
MySpace
http://www.myspace.com/fataldesolationjapan


ちなみに、待望の6/25零次元イベント第一弾[Black Sacrifice]への出演が予定されている。
どんなイカツイパフォーマンスを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。
震災でいろいろ大変だと思いますが、逆境に負けずに頑張ってほしいと心から思います。