Avsolutized...:「Den Svarta Vandans Genealogi」


最近隆盛著しい日本ブラックメタルシーンからまたまた期待のバンドが登場。1996年から活動しているAvsolutized...の2008年500枚限定5曲入りEP。
昨年の流行語大賞といってもいいくらいネット上で言及されていたArkha SvaのヴォーカリストUr Emdr Oervn女史とストリングス担当のMiZANEによる2人バンド。ドラムは打ち込み。


MiZANE氏がArkha Sva関係者かどうかわかりませんが、感触としては非常にArkha Svaに近いトゥルー気味メロディックブラックメタルArkha Svaをスウェディッシュ寄りにした感じとでも申しましょうか。Arkha Svaから邪悪さクドさを取り除いて儚さと美しさは残したような雰囲気はらはらと涙が出るような儚く切ないメロディが琴線に触れ、グッと胸にくる
楽曲としては、ミドルテンポを軸にマシンドラムならではの正確無比なブラストを交え、緩急をつけ劇的に展開している。
音質は良好。ジュワジュワノイジーでありつつ耽美的なギターと、打ち込みではあるがバシバシと迫力のあるドラムが分厚い音をつくっている。


やはりなんといっても注目すべきは多彩なヴォーカルワーク。地を這うような低音グロウル、つらつらと呪詛を紡ぐ邪悪なガナリ声、高音スクリーム&金切り絶叫、そして普通声にオペラ声と目まぐるしく(時には一息で幾つもの声を)スイッチさせており、その芸達者ぶりをいかんなく発揮している。凄まじいヴォーカリストだ。
しかしたしかにこれはすごいけど、ちょっとそこを誇張しすぎているというか、のど自慢大会になっちゃっている場面もチラホラ。その辺が鼻につくと素直に曲が楽しめないかもしれない。#2での芝居がかった悲鳴はぶっちゃけない方が良かった(笑)


また今作では#3:My Veins Are OpenスウェーデンSetherialのカヴァーとなっている。インタビューでは、Avsolutized...Setherialの初期作品にインスパイアされて結成したと語られている。
しかし、Setherialってこんなにかっこよかったっけ?スウェディッシュというよりはほんのりヴァイキング臭も漂うノルウェーライクなファスト・メロブラ。TaakeRagnarokとかに近いかな。凄絶なスクリームと鬼無慈悲なブラストの共演は鳥肌もの。元の曲は知らないけど激しくかっこいいっす!!


というわけで、素晴らしい内容の高品質国内ブラックメタル
Arkha Sva同様、フレンチブラックの儚げな雰囲気を日本人のセンスで研ぎ澄ましたかのような、胸の詰まる繊細なメロディがたまらない。苦しそうに叫ぶスクリームが乗っかるともうまじで泣けます。
Arkha Svaを気に入った人なら間違いなく気に入るだろう。あれほどクドさがなくもっとストレートなためすんなり聴ける。
ヴォーカルも、実際かなり凄まじい実力の持ち主なのは事実なんで、一部のやり過ぎな部分に目をつむれば(笑)みんな虜になるはず。個人的には大好きなヴォーカリストです。
全5曲(うち2曲インスト、1曲カバー)というと少なく聞こえるが、収録時間は30分以上ありそれなりの聴き応え。興味のある人は早めにゲット推奨。


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