Amduscias:[Amduscias]


1990年結成の偉大なる第一世代国産ブラックメタル、98年EP。6曲28分半。イギリスのBlackened Recordsより。
このバンド、国産ブラックが注目を集めている現在の流れにあってもあまり語られることが無いように感じられます。実際僕自身、名前は知っているけれど、位の認識でした。
ところがどっこい、これがまた北欧メロデス的叙情性を感じさせる初期ノルウェイジャン/スウェディッシュ系メロブラをベースに、国産らしい耽美でロマンティックなメランコリーを盛り込んだような、素晴らしいメロディックブラックメタルとなっており、初聴時には度肝を抜かれました。


適度に緩急を設けながらドカドカチンシャンと心地よい疾走感を強調したブラストで突っ走る基本ファストな曲調。
チリチリザーザーと寒々しくもエモーショナルな湿り気を帯びたノイジーさのギターが奏でる、いかにもブラックメタルらしい魔的な響きやヒステリックさを感じさせながら、それでいて耽美的と言えるほどクサみのある極めてメランコリックで琴線に触れまくる美麗トレモロ、およびリフ満載
時にミステリアスな森林系アコギブラックメタル離れしたロマンティックなソロ(Transylvaniaっぽい)なども的確に用いて、徹底的に叙情性と憂鬱感に磨きを掛けている。常に緊張感溢れるメロディックなリフ捌きと相まって、楽曲のボリュームはさほどではないが随分ドラマチックな聴き応え。
またヴォーカルも素晴らしく、怨念をネチネチと練り上げたかのような陰湿さを持った掠れ気味のドス系ガナリが実に邪悪でかっこ良し。とゆーか、この人Arkha Svaの人ですね。声とか歌い方とかモロです。


というわけで、今だからこそ再注目されるべき国産ブラックの大名盤。
前述したように、Dark FuneralDissectionといった王道スウェディッシュ系に、Arkha SvaAvsolutizedなどを思わせるある種ゴシカルな叙情性を添加したような作風であり、とにかく北欧メロデス的哀愁と憂鬱に打ちひしがれるような陰鬱美メロが素晴らしく、激しく心を打つ。ブラックメタラーなら反応せずにはいられない痛烈な破壊力。めちゃくちゃかっこいいです。
そしてやっぱりこのヴォーカル。痺れます。
6曲すべて素晴らしいが、お気に入りは#2、#3。構築美とも言えるほど壮麗に築き上げられるブラックメタルの美学が感じられ激しくツボ。
極端にカルトやプリミティブに傾倒してはおらず、あくまでヘヴィメタル的なプレイが貫かれて(ギターがギュインギュインしたりとか)おり、非常に聴きやすいメジャー系ブラックの部類。
国産ブラック好きは言わずもがな、基本的にブラックメタルが好きならきっと楽しめるだろう万人受けするスタイルとクオリティを持った世界照準の一級ブラックメタル、目にすることがあったら是非お手に取っていただきたい一枚。
Great!!!