Lifelover:「Pulver」


スウェーデン出身アヴァンギャルドブラックメタル/ディプレッシブロック、2006年1st。自分が持ってるのはジャケ違い再発盤(右画像)。
以前見たときはお花畑と血だらけオパーイ(゜∀゜*)なジャケから変態デスメタルだろーと思ってスルーしたんだけど、どーやら変態は変態でもブラックメタルの方だったようで。マイスペで聴いてビビビっときたんで購入した次第。
2005年結成の比較的新しいバンドで、歌詞の内容は都市生活・愛・ドラッグ・ブラックユーモア等、メンバーもどこぞのハードコアバンドのようないでたちと、既存のブラック感に捉われない期待の新星。


同郷の自殺ブラックShining圧倒的な暗黒波動をモダン/ゴシック調にしたような陰鬱ブラックと、都会的オシャレ絶望ロックを2:8で掛け合わせたうえ、B級ホラー映画みたいな血なまぐさいグロテスクさを隠し味にブレンドしたような、極めて実験色の強い作風。
ブラックメタル然りとしたリフも聴けるが、とにかく「ブラックらしくなさ」が際立っておりロックっぽいダイナミックなリズムに生ピアノがのっかるモダンテイスト溢れるオシャレな楽曲群はかな〜り個性的


アコースティックで静かな曲から激しめの曲(ブラストとかは全くない)まである程度楽曲に幅があるが、どの曲も非常に叙情的。
クラシカルな生ピアノ・グルーブ感のあるロックなギター・ベースの奏でる物憂げで悲しげな単音メロディに、ひたすら絶望を吐露するヴォーカルの醸し出すどうしようもない絶望感・儚さ・切なさが激しく涙を誘う。#2#5あたりはAmesoeursに近い切なさが感じられ、取りようによっては癒しとも取れるような、邪悪さとはかけ離れたネガティブさがたまらない。


ヴォーカルはデス声ではないが感情のこもった凄まじい叫び声で、何かを訴えかけるように喚き、情けなく泣き叫ぶ様は聴いていて胸が苦しくなるほどに悲痛。気だるいクリーンボイスや発狂系絶叫なども用いており、表現力豊かで味わい深い。


生ピアノもそうだが頽廃的な雰囲気の演出が実に見事で、ょぅι゛ょが歌う「NHKみんなの歌」みたいなかわいい歌メリーゴーランドでかかってそうな牧歌的な曲オルゴールなど、一聴して場違いと思えるようなポジティブなフレーズがカオティックに飛び出してくるのが、かえって狂気を感じさせ背筋がゾクリとする#10なんかは圧巻。また#6はKeyによるインストだけど、これはかなり怖い。


他に類を見ないヒネくれたスタイルを徹底している面白いバンド。
楽曲から滲み出る悲痛さメランコリックさがハンパではなく、孤独、嘆き、落胆、絶望といったものを生々しく鮮明に感じさせてくれる。
特にセンチメンタル極まりない#2女性の色っぽく切ない溜息から始まる#12あたりは、聴いていて鬱になると同時に激しく癒される感動的なキラーチューン
正直相当ハマってしまった。個性的すぎて好き嫌いはっきり分かれそうだけど、未聴の人は是非聴いてみてもらいたい一枚。
しかし、最近一人で沈み込みながら聴くようなCDばっか聴いてるなホントw


・Official Site:ヴィジュアル面でもこだわりを感じる。
・Official Myspace#2:M/S Salmonellaは必聴必涙。