Old Graves:[This Ruin Beneath Snowfall]


Colby Hinkによるカナダ産独りアトモスフェリック・フォーク・ブラックメタル、2015年EP。4曲25分弱。
Naturmacht Productionsよりデジパックでリリース。
デジタルアルバムならBandcampでNYP購入することが可能。
もちろんCD購入。


21世紀北米型アトモスフェリック・フォークの優等生、期待を裏切らない快々作!!
カナダ、更にブリティッシュコロンビア出身の自然派ポストメタル風ブラックということで、これまでの作品同様Agalloch初期SkagosFalls of Raurosの“流れ”を受け継いだ、哀愁フォーク・スタイルにモダンでスタイリッシュな感性を併せ持ったカスカディアン・スタイル。
ゆったりミドルテンポ、しっとりと情緒を紡ぐスローテンポからバコバコと荒々しく叩き込まれるドラムに乗せて抑えきれない感情を発露させる疾走パートまでダイナミックに展開。
その上で、自然的な肌触りを感じさせる木目調の憂い気メロディ、素朴な力強さも帯びながら胸よ張り裂けろと言わんばかりに咽び泣く激エモーショナル・トレモロ、柔らかで温かな湿り気と共に時折生命の力強さも感じさせるアコギ、オシャンティなムード香るギターソロやヒンヤリと幻想的・神秘的な雰囲気を盛り立てるシンセサイザー等々による叙情味たっぷり哀愁メロディの多重奏が素晴らしいことこの上ない!
次から次へと繰り出されるメランコリック極まるメロディの破壊力と、じっくりタメ→ガスガス疾走というお約束ながらツボをビンビコ弾き倒す楽曲構成との合わせ技はお見事!
ハンパないカタルシスが堪能できる!!
そんな楽曲の中、少し遠くの方で慟哭の咆哮を張り上げる絶叫ヴォーカルがまた得も言われぬ悲壮感を煽ってニクイこと。


というわけで、以前のEPスプリットがかなり良い出来だったため期待も大きかったが、その期待に応えて余りある素晴らしい作品。
真新しい要素こそあまり感じられないものの、とにかく哀愁メロディの破壊力、楽曲構成のバランスが秀逸で、全編を通じてセンスの高さが感じられる。
また一曲目は導入のアコギインストであるためブラックメタル曲は実質3曲、さらにこの手にしては楽曲も短めであるためお腹一杯ボリューミーという程の聴き応えは無いが、しかし内容が素晴らしいため視聴後の満足度は結構高い。
前述のように初期SkagosOctober FallsSkogenFalls of RaurosEnisumOak Pnatheonあたりが好みであれば楽しめるはずだ。
過去作も含めてBandcampでNYP購入が可能であるため、未聴の同志諸兄は是非とも突撃してもらいたい。


【お気に入り】
#2[Dawn Treader]:2:20あたりからの展開はサブイボモノ!
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