Owl's Blood:[Cold Night of Meditation]


スペイン産プリミティブ・ブラックメタル、2014年1st。6曲39分半。
ポルトガルAltare ProductionsデンマークDead Section Recordsより共同で200枚限定LPとしてリリース。
スペインの哀メロブラックSentimen Beltzaの中の人がギターをしている。
アルバムにカウントしていながら過去作デモと同数の200枚限定とか全く売る気ないなこいつら(笑)


これぞ正しきユーロUGメロウ・プリミティブ!
寒々しくメロウなトレモロ/リフを伴いながらドカドカツタツタとRawにひた走る徹頭徹尾ストレートなスタイル。
ユーロUGメロウ・プリミティブというとSatanic Warmasterを筆頭としたフィンランド系が真っ先に思い浮かぶが、あれらのようなスラッシーなオールドスクール調のパートやスカッとしたある種の爽快感などはなく、メロウ極まりないメロディからはむしろフランス染みた陰鬱さが感じられ、全体的にジメッとした湿り気が滲み出ている。
2011年デモ[Lunar Equilibrium]同様の作風だが、湿り具合はより一層増しているように思われる。
そう、このサウンドはまさにBekhiraだ!
Bekhiraが印象的に用いていた「ギューン!」というピックスクラッチを冒頭に配した#2[Old Graves of Liberating Essence]などまさにモロBekhiraインスパイアと言えるだろう。
#3[Funeral Visions from Above]では中間パートでメディーバルなメロディやクリーン・ギター等も用いつつ、全曲通して甘々ではないがBekhiraよりテンション高めという絶妙なサジ加減のメロディを掻き鳴らしながら疾走疾走また疾走、さらに時折テンポダウンしてタメてからの突進など緩急の付け方もツボを心得ており堪らないものがある!


というわけで、他のバンドにはない個性的な特徴というものはあまりないドストレートな作品だが、ユーロUGの醍醐味をタップリと味わうことが出来る鬼カッコ良すぎる好盤!
音質もUG的なラフさは当然感じさせつつも分離バランス共に良好で、過去作が好みであれば安心して楽しめるはずだ。
ロディックなプリミティブを好む層には遍く受け入れられるであろう汎用性の高いサウンドありながら、コアな通も心底納得させ得る髄の詰まった花丸100点満点トータル・ハッピーなプリミティブ・ブラックであると推挙したい!
200枚限定LPとハードル高めだが、UGプリミティブとしてスキ無くカッコイイことは補償するので、興味をもたれた方はDiscogsで張り込み捜査を行うなどして聴いてみていただきたい。


【お気に入り】
#3[Funeral Visions from Above]:全曲ムラ無くカッコイイけど、耳を惹く中間パートとそこからのメロメロ突進がドチャクソカッコ良かったこの曲をチョイス。
【Altare Productions】
http://altare.pt/index.php?route=common/home
【Dead Section Records】
http://deadsection.dk/store/
レーベルはもうソールドアウトなのかな?