Lembrando os Mortos:[Ritual de Despedida]


今ワールドカップで大いに盛り上がっているブラジル独りプリミティブ・ブラックメタル、2013年1stデモ。4曲33分半。
オリジナルは自主制作のようだが、自分は2014年にMetal Throne Productionsより500枚限定CD再発されたものをゼロ次元さんより購入。
ここのところポスト・ブラック系ばっかり紹介していたから、たまにはブラックメタラーとしてテコ入れを(笑)


南米産と聞くと暑苦しくオブスキュアな突進ウォー・ブラックを想像するが、どっこいジワリと陰鬱ほんのり邪悪な雰囲気を纏いながら寒々しくメロウに疾走する直球北欧型UGプリミティブ
ブラジル産でこの手のスタイルと言うと真っ先にEvilが思い浮かび、まぁ間違いなくEvilの影響は受けているのであろうがEvilよりは普遍的なブラックメタルに近い曲展開とサウンド
疾走パートのトレモロの質感はSatanic Warmasterを始めとしたフィニッシュ・プリミティブ勢に通じ、また陰鬱パートは微かにBurzumishな灰色グリム感を感じさせるし、#2[O Ponto Fixo]の邪悪でありながらハッとするほどメランコリックなリフなんかはArkha Svaをも彷彿とさせる。
さらに要所要所でベースのトレモロがギターと絡み合ったり、かと思えば#4[O Rumor Fatídico dos Ventos]では打って変わってどこか儚さも感じさせる暗い物悲しさを湛えた単音メロディが11分弱にもわたって終始ゆったりと鳴らされる単調な長尺曲となっており、これまた全然ウソ臭くなく作品の薄暗い雰囲気に溶け込んでいたりなど、何気に芸達者でありながら世界観の貫徹したメロディ捌きが大変素晴らしい!
一番短い#2が5分半、あとは8〜11分程度の曲ということで、比較的長尺曲が並ぶが、キャッチーだがやり過ぎでない絶妙なメロディセンスと、小気味良い疾走感と鬱屈としたタメを駆使した展開により退屈することはない。
また音質に関してはUGプリミティブの範疇を逸脱しない程度にクリア(ドラムの一音一音を聴くと打ち込みに聞こえるほど。打ち込みじゃないよねこれ?)で分離が良く、ベースの存在感もバッチリ。
特に硬く抜けの良いスネアがスカカカカと連打されるのが気持ち良いったらない。
ちなみに#1[Ritual de Despedida]冒頭でジーク!ハイル!」なSEを使っていたり、#3[El Veneno Y La Cura]冒頭では軍靴を踏み鳴らす行軍SEが用いられたりなど、NS的なモチーフがチラチラ見受けられるのでもしかしたらそういったステートメントのバンドなのかもしれない。


というわけで、緊張感あるメロディ捌きと軽快な疾走感が楽しめる一作。
実際のところストレートでレベルの高い無名バンドはゴロゴロいるとは言え、2013年結成の新人独りバンドの1stデモとしては、なるほど充実した作品と言えるのではなかろうか。
衝動性や荒々しさを求める生粋のプリミティブ・ブラックメタラーにとってはそつ無くこじんまり・小綺麗にまとまり過ぎているかもしれないが、それでもプリミティブに抵抗のないブラックメタル・ファンなら聴き手を選ばない普遍性があると感じた次第。
今後の作品にも期待している!


【お気に入り】
#2[O Ponto Fixo]:2:40あたりのギター+ベースのメロディック暴風雨にヤラれる。
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