Vilkacis:[The Fever of War]

【試聴】Vilkacis - Wind and Flame
Fell VoicesSleepwalkerMikeによるアメリカ産プリミティブ・ブラックメタル、2013年EP。5曲34分半。
Fell Voicesの盟友Ash Borerの自主レーベルPsychic Violence Recordsより手書きナンバリング入り200本限定でテープリリースされた。
歌詞カードにはなにやら血の判子が押されている。


Fell Voices絡みということでハードコア感のあるアトモスフェリック系を想定していたが、聴いてみるとFell VoicesSleepwalkerより随分とRawで殺伐としたリフレイン系プリミティブ・ブラックメタル
ドカドカバコバコと荒々しく単調に叩かれる遅めブラストで展開少な目にただひたすら突っ走る。
その上でキリキリとヒステリックに掻き鳴らされる高音トレモロBurzumを塩分過多の高血圧にしたような陰鬱感・悲壮感(特に#1[Freezing Hell])を纏った歌心溢れる悶絶メロディを、もうこれでもかこれでもか!とリフレインしまくってくるのだから堪らない!
贅肉をそぎ落とした起伏や緩急に乏しいミニマルなストイシズムはFell VoicesSleepwalkerに通ずるように感じられ、また穿った見方をすればザラっとした空気感やアタック感のある生々しいドラム、UGプリミティブにしてはマッシブな重低音といったサウンドメイクにカスカディア系らしさが垣間見えるだろうか。
また#3[Sentinel at the Gate]Sleepwalkerか、あるいは今は亡きKhrystsanthoney系を思わせるボォボォとくぐもった響きのポストロック風ギターによるゆったり茫漠としたアンビエント曲となっており、朧げな雰囲気がなかなかグー。
そしてシメの曲となる#5[Wind and Flame]では血圧がさらに高くなり、Aryan Artあたりを思わせる狂おしくも熱血な大自然に敬礼系の鬼メロウ・キリキリ・トレモロSatanic Warmaster系の寒々しくメロウなクサ・トレモロの絡みが絶品過ぎる、テンションの高いUGプリミティブな疾走曲となっており、ガッツポーズせずにはいられない!


というわけで、単調なリズムに乗せてひたすらリフレインされるメロディの奔流にトリップしてしまう、リフレイン系ブラックの醍醐味が味わえる快作。
カスカディア人脈としては珍しくまっとうなプリミティブ路線と言えるが、キリキリと掻き鳴らされるトレモロBurzumishでありながら個性的なセンスが感じられ、北欧のブラックとはやはり違った聴き心地だ。
万人にオススメというわけではないがこのメロディがハマれば大いに楽しめるだろうし、程よい辛口感をキープしながらメロディックというこの塩梅はなかなか素晴らしいと思うので、興味ある方は是非ご賞味してみていただきたい。
ちなみに本作はPxVxRxからリリースされるやいなやあっという間に売り切れてしまったように記憶しており、現在はレーベルのBandcampでデジタルアルバムを$6で購入することが可能だが、317枚限定でLP再発がアナウンスされている。
昨日紹介したSun Worship同様みちのく Onlineさんで注文を受け付けているので、ピンと来た人はまた売切れれる前にさっさと確保することをオススメする。


【お気に入り】
#5[Wind and Flame]:後半の盛り上がりやばい!
【Psychic Violence Records(レーベル)】
http://psychicviolencerecords.blogspot.jp/
【レーベルBandcamp】
http://psychicviolencerecords.bandcamp.com/album/vilkacis-the-fever-of-war