Funeral Sutra:[Meditations]


数度のライブを通じて各所で「国産カスカディアン・ブラック(矛盾)!?」と話題になっていた、「葬儀の経典」の名を冠する新進気鋭の国産ポスト・ハードコアブラックメタル、待望の2014年EP。4曲22分弱。
手書きナンバリング入り500枚限定、お香がついてくるA5ブックCD。
先日のリリースパーティで購入。
国産ではあるがその編成は、今をトキメクCOHOLの初代ドラマーKenta(日本)、COHOLItaruさんが過去に所属したハードコアバンドBlack Line FeverメンバーのギターJordan(オーストラリア)・ベースヴォーカルPaul(カナダ)という多国籍3人組。


ついに来た!全国民待望の国産カスカディアン・ブラックメタル!ザ・大いなる矛盾!w
激情ポスト・ハードコアとアトモスフェリック・ブラックメタルを高次元融合させた2010年代サウンド
Wolves In The Throne Room一族を思わせる神秘的・幻想的かつエモーショナルな激情トレモロを掻き鳴らし、静動緩急を交錯させたポスト・ハードコア的なダイナミズムで苛烈に攻め立てる、激しくも美しいアトモスフェリック・ブラックメタル
盟友、あるいは兄弟バンドとも言えそうなCOHOLと同系統とも言えるが、そのバランス感覚はCOHOLよりも随分とブラックメタル寄り。
感覚的にはVestigesが近いだろうか。
とにもかくにも一心不乱に掻き鳴らされる激情トレモロや、スローダウンしたパートでのオーガニックな温かみを感じさせる残響を纏ったメロディライン等の琴線刺激っぷりがハンパ無い!
またザクザクとしたリフで切り刻んだりして幽玄一辺倒でなくフィジカルなアタック感もあるあたりにハードコア成分が感じられ、いとカッコ良し。
カスカディアン・フォロワーと言っても自然崇拝的な雰囲気は無く、バンド名やアートワークからは仏教的なモチーフ(ヒンドゥーかも)が垣間見え、アルバム冒頭は怪しげなお経パートからスタートするなどアジアン・オリエンタルな世界観のようで、その辺も新しい。
デモの時点では、ハードコア絶叫タイプのヴォーカルが楽曲に対してちと弱いかなと感じていたが、本作ではブラッキーなガナリなども(苦しげではあるが)使用してパワーを増しつつ、ナヨった弱々しい叫び等も使い分けてうまく楽曲を盛り立てているように感じる。
一方、この手のバンドは総じて楽曲構成力が高いと相場が決まっているが、このFuneral Sutraもその例に漏れず、9曲半に及ぶ長尺曲と3分足らずのコンパクトな楽曲で壮大なドラマを構築しながら本作で1つの作品として収斂させる手腕を持っており、ラストは感動的。


というわけで、これは日本が世界に誇れる新世代系ハイブリッド・ブラックメタル爆誕ですぞ!
COHOLの現ドラマーKyosukeが以前このバンドを指して「日本にもWITTRはいる!」と力説してたのが印象的だけど、たしかにその言も納得の、デビュー作とは思えないクオリティの高さに目を見張るばかり。
ライブでの評判が高く、実際自分の目で見て(去年の静岡)も凄いバンドが出てきたとは思ったが、キチンと制作された音源がこれほど素晴らしいものになるとは、期待値も高かったはずなのに心底感激した。
その音楽性を説明する上の例示としていくつかバンド名を挙げたが、その凛々しげなメロディからは彼らのどれとも異なるオリジナリティが感じられ、今後どんな音楽世界を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
本作はゼロ次元さんにも入荷されているので、興味ある方は是非!
そしてできればライブへ足を運んで生の感動を味わっていただきたい!


【お気に入り】
#4[Death]:EP一枚丸々を受け止めてクライマックスを締めくくるにふさわしい感動的な一曲。
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【Bandcamp】
http://funeralsutra.bandcamp.com/album/meditations
ちなみに、お香が折れていたという報告多数(笑)