Nightside:[The End Of Christianity]


1990年代に活動したフィンランド産、伝説のロディックブラックメタル、1999年EP[Ad Noctvm]に1997年デモ[Demo 1997]を追加して2001年にリリースされた1st
Black Tower Productionsが2009年に1000枚限定で再発したものをゲット。
本来なら12曲収録(EP:#1〜#7、デモ:#8〜#12)となるはずだが、プレスミスにより最後の一曲が欠けて11曲45分。


【ファストかつメロディアス、オーセンティックな90年代北欧型疾走メロディックブラックメタルの隠れ名盤!】


抜けの良いスネアと軽めバスドラ・腹に響くタムがかっこ良いドラムがスタスタ荒々しいスラッシュビートや厳かなミドルテンポを混ぜながらパワフルなブラストでドガドガバコバコと爆走し、モコモコしたベースが底の方でうねりを生み、良い感じに湿り気を帯びたギターが寒々しくメロウなフィンランド的哀愁トレモロ、悪魔的響きを持ちながら荘厳美の強調された北欧メロブラ的トレモロ/リフ、ザクザクしたスラッシュメタリックな刻みリフ、泣きのツインギターソロなどを弾き、初期Emperorを彷彿とさせる荘厳なファ〜ファ〜とシンセがうっすらと被さり冷たく神秘的なアトモスフィアを醸し出す。このシンセは#4[Summon The Holocaust]など時に初期Nokturnal Mortumが如くシンフォニックに楽曲を装飾したりもする。
ヴォーカルは非常にブラックメタルらしい中音域のガナリ絶叫で、ガラガラと背徳的なデスヴォイスで邪悪にガナリ散らしている。


チープなB級ヘビメタのようなコテコテジャケがかなり胡散臭さを漂わせているが、これがまたどこを切ってもいかにもブラックメタルな、ド直球ブラックメタルが徹頭徹尾貫かれている。
ブルータルさとメロディアスさの同居したスタイルはスウェディッシュに一番近いと言えるだろう。
他には見られない個性といったものは皆無だが、ブラックメタルに求められる諸要素が軒並み高レベルかつ理想的なバランスで実現されており、非常に高品質。
ギターリフやシンセが、それこそメインメロからバッキングに至るまで、とにかくキャッチーであり、甘過ぎないギリギリのラインで絶妙にメロディアス。
ピンと張った緊張感のあるシリアスな空気感や、ヘヴィメタルとしての矜持を持ったソリッドな演奏、疾走爆走パートに重点を置きながらミドルパートも箸休めでなくしっかりと聴かせる緩急をつけた楽曲構成といったメタルとしてのクオリティを持っていながら、真性的地下臭さ・UG感が充満している点は、まさに90年代ブラックメタルの風格が感じられる。
また#7[Demon Metal]ではSodomDestructionかといった古臭いスラッシュメタルをプレイしており、思わずガッツポーズ。ヴォーカルも汚らしい吐き捨て濁声をメインに、伸びはそれほどでもないがハイトーンシャウトで叫んだりととてもかっこ良し。


というわけで、初心者から玄人まで須らく満足できるであろう至高の傑作。
ブラックメタラーとしての根っこの部分に訴えかけてくるタイプの、まさに王道ブラックメタルなので、普段はプリミティブブラックから純粋培養されたスカスカチリチリのミサンスロピックブラックばっか聴いている、甘々メロデス/ブラックは聴いてられんという剛の者にとっても、これは美味しい音源になるのではないだろうか。
ブラックメタルファンなら聴いておいて損は無いと太鼓判が押せる。
すんばらすぃ〜一枚!!!!


【お気に入り】
#2[Ad Noctvum]:王道ブラックメタルここにあり。
【レーベルサイト】
http://www.black-tower.ch/
#10[Where Darkness Shines]も凄く良い。

往年のスラッシュナンバー#7[Demon Metal]