Sun Devoured Earth:[Good Memories are the Hardest to Keep]


ラトヴィア産、財布に優しい独りポストロック/シューゲイザーアンビエントブラックメタル、2011年3rd(もしくはEP)。6曲27分強。
オフィシャルサイトでmp3音源が無料配布されている。


【キャッチコピー】
「人生って一体何が楽しいの?」「リセットボタンはどこですか?」「明日目が覚めなければいいのに」とブツブツつぶやくド根暗な鬱ブラinspired音響ポストロック/シューゲイザー
【一言】
Xasthurを思わせる鬱系グルーブ感漂うスロウな打ち込みドラム、儚く切なげに胸を掻き毟るシューゲ・ブラックらしいシャリシャリノイズギター/ヒステリック高音ギターの激感傷的涙腺決壊トレモロ、キラキラポロンと音の粒子が舞い降るようなポストロック的クリーンギターの幻想的旋律、仄かな温かみと寂寥感を滲ませるアコギの癒し系アルペジオBurzumを思わせる虚無感漂う白昼夢シンセなどが、甘く淡く幻想的に残響を残しながら、うつむきがちにノロノロと足を引きずるノスタルジック・センチメンタル極まりないサウンド
【二言】
ヴォーカルは嗚咽交じりに情けなく泣き言を絞り出すようなLifelover系のダメ人間絶叫。どうしようもない絶望感・倦怠感を吐露する様に胸が締め付けられる。Circle of Ouroborusを彷彿とさせる気だるげなマターリウィスパー等も用いられている。
【三言】
まぎれもなく昨今のシューゲ・ブラックの質感だが、その中でもとりわけポストロック/シューゲイザーへの傾倒が顕著な点が個性であり、90年代初頭のクラシック・シューゲイザー的甘ったるいサイケ感も味わえる。
【蛇足】
鬱ブラックの絶望感、倦怠感をポストロック/シューゲイザーサウンドと見事に融合させている期待株。
ディプレッシブ・ブラックの方法論としてシューゲイザーテイストを取り組んだバンドではなく、Alcest1stに連なる、ブラックメタルの表象をほとんど感じさせずにノスタルジーを描き出すブラックメタゲイザー・スタイル
淡く儚い切なさ、温かみのこもる癒し、胸を掻き毟る郷愁などの滲む涙腺決壊サウンドはまさにAlcestの提示したアプローチであり、MoroseSvarti Loghinと同系列に挙げられる音楽性だが、その世界観はそれらとは180º真逆で、ひたすらネガティブで生命への諦念に満ち満ちたやるせない根暗ワールドが展開されている。
Crooked Necksや最近のCircle of Ouroborusに通ずる気だるげな雰囲気であり、シーンによってはSidewaytown等も彷彿とさせる。
そういったバンドたちが好みならドンピシャツボにハマること間違いなしの逸材である本バンド、2009年にVadim Vasilyevがプロジェクトを立ち上げて以来、現在まで既に9枚のEPやスプリット、4枚のフルレンスと、Striborgもびっくりの超ハイペースで音源をリリースしている。
そしてなんと太っ腹にもオフィシャルサイトで13作品中7作品が無料DLできるので、まずはぜひ視聴してみていただきたい。
どの作品もほぼ同じ曲調の金太郎飴サウンドであるが、本作はその中でも若干シューゲ・ブラック感が色濃いため、今回レビュー作品に選んだ次第。
他作ではよりアンビエント寄りだったり、はたまたJoy DivisionThe Cureに通ずるポストパンクを彷彿とさせたりと、金太郎飴なりに作品ごとの機微も聴き取れたりするので、楽しめる人はどの音源を聴いても楽しめるはず。
特に本作と次作であるEP[I Wish I Would Never Wake Up]あたりが入り易いのではないかと思う。
なお、一作聴いてダメだった人に他の作品も聴いてみろと言うのは退屈な拷問にもなりかねないのは言うまでもない(笑)
ちなみに、前述したCrooked NecksCircle of OuroborusBlut Aus Nordが所属するHandmade Birds Recordsからいくつかの作品のリリースが決定しており、今後の動向に注目したいところだ。
【お気に入り】
#3[Show Me The Road To Joy]:琴線をチェーンソーでガリガリ削る破壊力。
【オフィシャルサイト】
http://sundevouredearth.bandcamp.com/
MySpace
http://www.myspace.com/sundevouredearthbm