Divina Inferis:[Aura Damnation]


フィンランドブラックメタル2人組、2007年1st。5曲42分弱。
Primitive Reaction Productionsよりリリース。


【キャッチコピー】
ゴオゴオと暴風雨が如く吹き荒れるノイズに歪んだ厭世的なメランコリーが、神を呪う怨念じみた冒涜精神を燃え上がらせる、深遠なるRawカルト・プリミティブ
【一言】
オールドスクールな威厳漂うミドルテンポ/ガシャガシャバコバコカンカンとけたたましく荒れ狂うブラストを織り交ぜるRawなドラム、ジリジリとささくれ立った劣悪音質でノイズを撒き散らすギターが掻き鳴らす、寒々しくメロウ、かつ陰湿な湿り気を帯びたトレモロ、北欧らしい邪悪な荘厳リフ、低音でしっかりサタニックな雰囲気を作り出すベースなどが、深遠な轟音儀式空間を構築。
【二言】
ギャァギャァギエエエと喧しく喚き散らすブチキレ絶叫ヴォーカルがすこぶるイーヴィル。このなりふりかまわない凄まじいテンションはMalveillanceHonos Aquilaeあたりを思わせ、凄絶なことこの上なし。
【三言】
フィンランドらしい寒々しくもメロウといった形容が適切なプリミティブ路線だが、Satanic WarmasterGoatmoonのようなある種の軽快さ、ノリノリさやスラッシュメタル的爽快感はあまり無く、SargeistHornaBaptismあたりを、もっと陰鬱さを強調したような音楽性。
【蛇足】
非常に高レベルなフィニッシュ・ブラックメタル
暴虐性と邪悪さを失わず、結構メロウといった塩梅。
リズム面での緩急はあるものの、長めの楽曲でマッシブな轟音が延々と似たような寒々しく陰鬱なメロディを繰り出しているために、アルバム一枚通してほとんど同じ景色が続く。
一瞬の気の緩みも無くブラックメタルらしいシリアスかつダークな空気感が張り詰めており、日光の届かない石畳の地下牢獄で暗黒司祭が一心不乱に冒涜の音楽を掻き鳴らしているような、独特の酩酊感はまさにUGブラックメタルならではの醍醐味。
リフレインされる不穏なメロディにはフレンチブラックのような暗黒耽美への陶酔感、ディプレッシブ・ブラックのような内向性もそこはかとなく感じられ、浮世離れした暗黒空間に溺れるトランス感が味わえる。
音質は錆びた鋼鉄のヤスリで鼓膜をギャリギャリと削っているかのようなノイジーなものだが、低音まで図太く、各楽器の音はベースまでちゃんと聞き取れ、骨太な劣悪音質と言える。
というわけで、ブラックメタルの暗黒哲学に徹した良盤。
根本的な意味でブラックメタルとしてかっこよいため、ブラックメタルファンには幅広く受け入れられるだろう一枚。
前述したようなフィンランド産のバンド群が好きならば無論オススメ。
【お気に入り】
#3[Lift Up Your Eyes On High]:5分45秒過ぎからのフレンチブラックかと見まがう叙情展開が神。
【レーベルサイト】
http://www.primitivereaction.com/


以下は本作以前にリリースされたデモ音源の曲。
雰囲気が結構違う(本作はもっとストレートにアグレッシブなブラックメタル)が、参考までに。