Skagos:[Ást]


カナダ産、自然崇拝アトモスフェリック・ブラックメタル、2009年1st。6曲55分強。
テープがEternal Warfareから、CDがNHR Recordsからリリースされている。


【キャッチコピー】
激情・神秘・郷愁の三要素によって、大いなる自然への畏怖と敬意を語り継ぐ、新世代叙情派農耕民族ブラックメタル
【一言】
ゆったり横揺れからブラスト疾走まで緩急つけてドラマチックに展開するダイナミックなドラム、深みのある温かな音色の木目調ディストーションギターが掻き鳴らす寒々しく神秘的でシューゲイザーな意匠の叙情トレモロ、厳かに響きわたるクリーンギターによる自然の厳しさが身に沁みるような高音メロ、時折慟哭のメロディを奏でるベース、柔らかな質感でジャンジャカする純朴なアコギ、祈祷するような土着的儀式パート等が絡む、Wolves in the Throne Roomタイプの新世代系。
【二言】
ヴォーカルはAgallochを思わせる掠れ方をした中音ガナリデス。人間性の希薄な、まるで山神が森に足を踏み入れた愚かな人間に語りかけるような貫録があり、かっこよし。湧き上がる感情を抑えながら物語を読み上げるようなクリーンヴォーカルもナイス。
【三言】
Wolves in the Throne RoomAgallochを足したような音楽性、世界観。例によって10分から15分の大作が中心だが、激情の炎に身を焦がす爆走パートと穏やかに叙情を紡ぐ静寂パートを絶妙に絡めた巧みな曲展開は緊張感たっぷりで全く冗長さは皆無。
【蛇足】
いわゆるWITR系列としてマニアに評価されるバンドの、現在唯一のフルレンス。
先日紹介したPanopticonとスプリットなんかも出していたりする。
この手のバンドの例に漏れず、ブラックメタルの荘厳な質感は残しつつも邪悪さは希薄であり、神秘的で郷愁を誘う琴線刺激トレモロを武器とする、静と動の対比によるドラマ性の高い楽曲がウリ。
その中でもこのバンドは自然崇拝への傾倒が顕著であり、Ulver1stAgallochのような、浮世離れした仙人のような雰囲気が感じられる。
Agallochが自然の世界をある種淡々と描き出しているのに対し、こちらは自然を崇める人間視点と言うか、インディアンやアボリジニなど先住民族の口頭伝承みたいな雰囲気が独特。
Panopticonのように(あそこまで陽気でなくよりストイックだが)牧歌的なフォークパートも挿入される。
アルバム一枚通した世界観にどっぷりハマるような聴き方が好きな方におすすめ。
無論僕がこれを聴いて恍惚とトランス状態を貪っていることは言うまでもない。
Wolves in the Throne RoomAtar of the Plagues初期FenPanopticonあたりが好きならきっと気に入るであろう一枚。
【お気に入り】
#3[Blossoms Will Sprout From the Carcass]Skagosの醍醐味がぎっしり。
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