Adorable:[Fake]


UK産クラシックシューゲイザー、1994年名盤2nd
10曲41分半。


【キャッチコピー】
轟音ドリーミー+青臭い疾走感・焦燥感の爽快ノスタルジックシューゲイザーオルタナティブロック
【一言】
軽快なオルタナロックの骨格に、ブリブリと歪んでザラついた厚みのある轟音ギターが青臭い衝動とロマンティックな歓喜を発散し、その上空でふわふわと浮遊し幻想的な残響を響かせるギター/柔らかなアコギのアルペジオが淡く切ないメロディを奏で、甘ったるくも切ない気だるげヴォーカルがのっかる。香り付け程度にエレクトロニカ的Keyも入る。
【二言】
UK的憂鬱感とドリーミーな美意識、青臭い甘酸っぱさとグランジに通ずる疾走感・焦燥感が強く、ロックの骨太さも持ち合わせている。
【三言】
シューゲイザーらしい倦怠感を持ったヴォーカルは、しかしシューゲイザーに多い淡い少年系ではなく、イタリア男臭い脂っこさとナルシストっぽさがあり少々クセっ気。セクシーだが大人の色気と言うにはまだ青さも残る絶妙な塩梅で、切ない歌声に胸が苦しくなる。時に濁声で力強く歌ったり叫んだりもして感情表現豊か。
【蛇足】
こちらも先日紹介したThe Autumns同様今年購入してかなり気に入っている一枚。
シューゲイザー終焉期に登場し、本人たちは飽和しつくしたシューゲイザーにある種反感を抱いていたものの、その音楽性から結局シューゲイザーにくくられてしまい、シューゲイザーの衰退とともに消えていった不遇なバンド、ということらしい。
そうした生い立ちから、「遅すぎた、最後のシューゲイザー」、もしくは「もっと遅ければ違ったシーンで評価されただろうバンド」なんて評判もチラホラ。
さておき内容はと言えば、実にシューゲイザーらしい、轟音サイケデリックな夢見るギターロックであり、ギターの音遣いの巧さや空間の使い方、メロディの甘さ切なさなど非常にレベルが高く素敵。
音の洪水に飲み込まれながら、甘美なメロディと切ないヴォーカルにどっぷり浸ることができる。
My Bloody ValentineSlowdiveのような倒錯的なほど浮遊感溢れるサイケ寄りのサウンドではなく、根っこにロックの衝動を内包した、グランジなどにも通ずる地に足のついた音楽性。
天才Neige御大ファンのブラックメタラー的視点から言わせてもらえば、アコギのアルペジオやギターリフ、ベースライン、ドラミングなど、AlcestAmesoeursに通ずるセンスが結構強く感じられて実に美味しく頂ける(#3[Man in a Suitcase]#5[Lettergo]など)
楽曲の幅も広く軒並み高品質、90年代シューゲイザーの名盤たる一枚。
前述の通りヴォーカルに多少クセがあるのでそのあたりで好き嫌いが分かれるかもしれないが、最近のシューゲ系ブラックが好きで「もっとロック寄りでもイケるぜ!」ってな人はきっと楽しめるだろう。
おすすめ!
【お気に入り】
#2[Vendetta]:青春ノスタルジックシューゲイザーの傑作。
【傾向と対策】
AmesoeursAlcestPest Productionsシューゲイザー/ポストブラックメタルRide
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