Bekhira:[Demo '96]


フランス産、プリミティブ/メロディックブラックメタル、1996年デモ。5曲24分。
1stがメロウなプリミティブの大名盤として各所で絶賛されるBekhiraですが、コレクターの間で評価の高かった幻のデモ音源が待望の再発。ジャケットアートワークが雰囲気たっぷりでいい感じなんですが、ケースがいくらなんでも信じられないくらいのお試しCD仕様(笑)
2004年リリースのDesolation Triumpharisとのスプリットに収録されていた曲がボーナスとして追加されている。
さてその中身はと言えば、1stと同路線の、RawでUGな作りながら極めてメロディアス・メロウな素晴らしいプリミティブブラックメタルとなっています


ミドルテンポ〜ツタツタ疾走を絶妙に織り交ぜながら軽快・爽快にブラスト疾走するRawなドラムに、ジリジリしたプリミティブなギターが奏でるTransilvanian Hunger寒々しくもクッサクサのメロウ極まりない悶絶トレモロファ〜ファ〜したシンフォニック/アトモスフェリックな荘厳Keyが絡み、生気の感じられない吐き捨てデスヴォイスが薄気味悪く極悪にガナる
適度なオールドスクール感も併せ持ち、Satanic WarmasterSargeistに代表されるような典型的フィニッシュ・メロウプリミティブに根ざした音楽性。
1st同様とにもかくにも哀愁あふれるメロディが素晴らしく、北欧的荒涼感とメロウさ・ピンと張った緊張感と、フレンチブラックらしい爽やかだが憂いに湿った叙情、美しくも頽廃的な憂鬱感とがものの見事にハイブリッドされている。
また、ちょっとしたリフやハウリング・スクラッチの使い方などに正統派Heavy Metal的アプローチがチラホラと伺えるあたりがやはりかっこいい。1stほど顕著ではないように感じるが(1stはこの点が本当に本当にカッコよかった)。
ヴォーカルはTorgeistVlad TepesなどのLLN系に通ずる吐き捨て唸りガナリ。やかましく喚き散らしこそしないものの、重々しく怨念を吐き出す邪悪っぷりには惚れ惚れとしてしまう
音質は程よくチープかつノイジーで、汚く粗いUG然りとしたもの。バランスや分離は良く、マニア垂涎ものの理想的音質といえるだろう。カンカンと乾いたスネアの音がいい感じ。


というわけで、メロウなプリミティブが好きな人なら確実に悶死できるであろう至高の一枚
名盤1stを越える大名盤という評判も目にし、個人的にはそれは彼の1stを過小評価し過ぎだろうと感じざるを得ないのだが、そう言われてしまうのも無理はない、とんでもなく素晴らしい内容。
前述したようなフィンランド勢が好きならもちろん、とりわけVlad TepesBelketreスプ[March to the Black Holocaust]あたりが好きならドツボにハマるだろう。当然僕もそのクチである(笑)
デモということでボリュームこそ少なめだが、その点を差し引いても十分満足に足る完璧な作品。
未聴の方は手に入る今のうちにゲット推奨。
素晴らしいにも程がある!!(笑)


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