envy:[君の靴と未来 / All The Footprints You've Ever Left And The Fear Expecting Ahead]


世界中から高い評価を得る、日本産、激情ポストハードコア、2001年2nd。11曲50分弱。
シューゲイザー/ポストブラックメタルバンドのMyspaceのトップフレンドになっていることもしばしばあり、またネット上でも何度か目にしていた名前だったので、気になって購入。
ハードコアのアグレッションと轟音ポストロック的ダイナミズム・繊細な旋律とが、狂おしくも生々しい感情を鮮烈かつ激烈に発露させる素晴らしい内容。


力強く歪められたヘヴィなディストーションギター焦燥感に駆られた衝動的なドラム・および激情を吐露するスクリームが怒涛のテンションで畳み掛けるハードコアと、温かなアコギが柔らかく包み込み清涼感のあるクリーンギターが煌めく繊細なポストロックとが融和した、激エモーショナルかつダイナミック・ドラマチックなサウンド
轟音ポストロック的ギターサウンドのハードコアというか、迸る衝動と激情にその身をゆだねたJesuといったところだろうか。
キツく緩急のつけられた静と動、滑らかかつオーガニックなクリーンパートと地響きが如く轟くヘヴィネス・ディストーションサウンドとが、安らぎと憤怒、生命と破滅、内向性と攻撃性といった相反する要素の対比・激しい感情の起伏を、時に個々がバラバラに、時に両者がせめぎ合うようにしながら色鮮やかに描き出す。
激しい感情をぶつけるように掻き鳴らされるキャッチーなメロディは、攻撃的でありながら儚さ・切なさといった叙情も感じさせ、また悲壮的でありながら青空に飛翔するような昂揚感・爽快感も持ち合わせ、激しく琴線に触れる。
また、Alcestを強く思わせる心地よい温かみのあるアコギのアルペジオが儚くも切ない癒しを与えてくれる
ヴォーカルはハードコアらしいデス気味高音スクリームだが、まるで泣いているかのような慟哭の色が強く滲み出ており、非常に煽情的。聴いていて胸が苦しくなる。なお歌詞は日本語。なんだか哲学的っぽいことを歌っているようだ。ポツポツと呟くような語りパートもあり。


というわけで、噂や評判に違わぬどころか、かなり高かった期待値をさらに大幅に上回る素晴らしすぎる一枚
まさに涙と慟哭に暮れた激情ポストハードコア
徹底的に練り上げられた独特の世界観は圧倒的かつ完璧な完成度を誇る。
なにより、魂を削り出すような必死さが伝わってくるエモーショナルなメロディと癒し効果抜群のアコギの数々に、メタメタに心打たれてしまった
#9[堕ちてカゴヘ]とか、もうホントたまんない。
ここ二カ月ほどヘヴィロテしまくっている次第である。
AlcestAmesoeursFenなどのポストブラックメタルは好きだが、真性のポストロックはヌル過ぎる、という諸兄は、メタルではないが一度聴いてみるといいかもしれない。
知っている方にとっては何を今さらだろうが、知らない方には個人的に大プッシュしたい一枚。
激おススメ!!


・Myspace