Infernal Necromancy:[Infernal Necromancy]


1996年から活動している名古屋の大御所、Infernal Necromancyの2008年1st。10曲50分。
日本カルトブラックの総本山Nekrokult Nihilismより666枚限定でリリース。手書きナンバリング入り。
これまで多くのデモ、および数本のスプリット音源を出していますが、それらの集大成的な位置づけでいいんでしょうか?
国産らしい悲しくも美しい叙情と、北欧真性ブラックの禍々しさとが見事に両立されたクオリティの高い真性カルトプリミティブの名作


硬く乾いた音でドカドカバコバコと荒々しく叩きつけられるRawなドラム、およびドスの利いた厚いベースが不気味な瘴気をまき散らし、その上で寒々しくメロウなフィンランドトレモロ精神を逆撫でするようなヒステリックさを持ったノルウェーっぽくも個性的な暗黒リフが疾駆し、時折爽やかにすら感じられる叙情的なソロが挟みこまれる
軽快な疾走を絡めつつも、基本ブラストで突っ走るファスト路線。
初期ノルウェーブラックベースに、Mutiilationのような陰鬱フレンチ系の頽廃的な雰囲気をまとわせた感じか。真性の邪悪オーラが充満しており、さすがの貫録。
かなり気合の入った硬派なブラックメタルだが、トレモロから刻みまでリフはキャッチーかつメロディアスであり、国産らしい悲愴的な叙情が感じられ実にかっこいい#9[Amduscias]なんかはヴァイキング臭すら漂っている。
また、わりとへヴィメタル色が強いあたりもノルウェイジャンぽさの理由の一つ。時折挿入されるソロや単音リフのメロディがメロデスですかというほどに邪悪性が脱色された爽やかメロであり、楽曲の暗黒さとのギャップがソソる。このへんがフレンチっぽい。
さらに、ベーシストがFuneral Elegyのメンバーということで、あちらほどではないにせよベースラインもやはりメロディアス。
ヴォーカルはBurzumishな泣きガナリ。いわゆる「血管がブチ切れそうなほどハイテンション」な感じ。必死に感情の込められまくった痛々しい声色であり、終始悲惨かつ凄惨に泣き叫んでいる。
音質はノイジーなギターとポンコツ気味なドラムが程良いチープ感を醸し出しているが、低音までしっかりしていて音圧があり、分離もよく、何気に良好。細かいピッキングのスリリングさがいい感じに焦燥感を出している。


というわけで、バタバタとラフで心地よい疾走感、メロウなトレモロ、へヴィメタリックな切れ味と、結構わかりやすく聴きやすいスタイルだが、いかんせん地下室ブラックにしか出せない暗黒カルトオーラが濃密なため、まごうことなきUG音源となっている。
徹頭徹尾怒れる怒涛のハイテンションとオカルティックな雰囲気。本物のブラックメタルが堪能できる。
どの曲も良いが、#3[Kamikaze-神風-]、#5[Gate]、#7[War Gods-空の神兵-]、#10[Kaiten-回天-]あたりがメロディアスで特にお気に入り。
愛国的ブラックメタラーはもちろん、「国産プゲラw」という非国民系ブラックメタラーもいいから黙って聞いとけってな一枚。


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