Thränenkind:[Eine Momentaufnahme - Der Rest ist nur Einsamkeit]


ドイツ産、ディプレッシブ/シューゲイザーブラックメタルThraenenkindの2008年自主制作デモ
150リミテッド。5曲入り30分弱。
ディプレッシブな仄暗いメランコリーと、シューゲイジングな儚くも切ないノスタルジーが心を掻き毟る新世代系憂鬱ブラックメタル


軽快かつゆったりしたロックっぽいリズムを基調に、時折遅めのブラストで疾走し、その上でエモーショナルに歪められた温かくもノイジーな轟音ギターが切なさ満点の感傷的なトレモロをジャージャーと掻き鳴らし、節目節目で物寂しげなアコギやクリーントーンによるジャカジャカリフ・およびアルペジオなどが絶妙に絡められ、悲愴感一杯のデスヴォイスが重苦しく絶叫する
いかにもシューゲブラックらしい温かな癒し・切なさと、少量のディプレ的根暗リティの入り混じったトレモロが素晴らしい。また楽曲は主に7〜10分と長めであり、一つのフレーズを淡々とリフレインする鬱ブラ然りとした曲調であるため、ノスタルジックなメロディがジワジワと心に沁み入りどうしようもない憂鬱感に蝕まれていく
拡声器を通したようなエフェクトが若干かけられたガナリ絶叫のヴォーカルも素晴らしく、絶望と悲壮感にまみれた激情を腹の底から絞り出すように慟哭しており、心に強く訴えかけてくるものがある。また#3#5では気だるげな雰囲気が色っぽい女性ヴォーカル(およびセリフ)も挿入されており、いい味を醸し出している。
音質も自主制作とは思えないクオリティであり、特にLiamなんかを思わせるジャリジャリと程よく耳障りでありながら温かな厚みもあるギターの音色がばっちり感傷的でソソる。


というわけで、Amesoeurs1stHeretoirLiamあたりのシューゲイザー・ポストロック系ブラックメタルが好きな人は間違いなく楽しめるであろう珠玉の一枚。
シューゲブラック特有のメランコリーに満ち満ちており、これ系が好きな人のツボをかなり的確についていると思われる
5曲中実質メタルな曲は3曲だが、どの曲も素晴らしい出来。感情的なピアノとドラムによるインスト#4も叙情的で良いアクセントとなっている。#5アルペジオAlcestっぽくてグー。
欲を言うなら、ここにAmesoeursHeretoirで聴けるようなキリキリと心を掻き毟るような金切りトレモロ、柔らかに浮遊するクリーントーントレモロなんかあるともっと良かったかな。
とはいえかなりオススメのバンドなんですが、バンドが抱えている在庫は残りわずからしいんで、興味のある方はお早めに。
なお、同郷のHeretoirとのスプリットもすでに決定しているようであり、今後の活躍が実に楽しみだ。


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