Torgeist:[Devoted to Satan]
最近ナヨナヨした音源ばかり紹介してたんで、ここらでガリっと強烈なのを一つ。
Vlad Tepes、Mutiilation、BelketreらとともにLes Legions Noires(LLN)を構成していたフレンチカルトプリミティブブラックメタル、94年デモ。Drakkarより2008年リリースされたオフィシャル再発。
Vlad Tepesとの名スプリット[Black Legions Metal]が有名なバンドですね。
パイプオルガンと不気味な呪文調セリフによるホラー映画のようなSEで幕を開ける今作は、6曲13分とグラインドコアばりのーショートカットっぷりだが、LLNブラックここにありといった感じの濃ゆいブラックが凝縮されている。
DarkthroneやBurzumなどのCeltic Frost直系初期ノルウェイジャンブラックに源流をもつ暗黒スラッシーなオールドスクール色と、LLN系ならではの邪悪な地下室臭が最高にかっこいいUGカルトプリミティブ。
Vlad TepesやVermyapare Kommandoあたりを彷彿とさせる、ドラム缶でも叩いてんのかっつーチープなドラムとジャージャーガリガリブリブリ劣悪極まりない音質、および狂ったように喚き散らすガナリ発狂ヴォーカルがいかにもLLNブラックといった風格。
ドッテンバッタン小気味よいミッドテンポを巧みに織り交ぜながら、ツタツタ疾走、バコバコとブラストをかますダーティな疾走感が気持ち良いことこの上ない。特にテンポのスイッチングはお見事。カンカン乾いたドラムの音と軽快なリズム感がパンク/ハードコアっぽい炸裂感を醸し出しており、またザリザリノイジーなギターがザクザク粗く切り刻むスラッシーなリフは、ノルウェイジャンブラックをダサかっこ良くしたようなLLN系特有の暗黒センスを感じさせ、かな〜りキャッチーであり、ライヴで聴いたらさぞ楽しいであろう爽快モッシュサウンド。
前述したように音質は極悪の極致であるが音の分離・バランスは良く、ベンベベベンベンと地の底で響くベースが地下室から立ち込める死の腐臭を振りまいている。
ヴォーカルもやはりVlad Tepesや初期Mutiilationを思わせる強烈に歪んだガナリ声。Vlad Tepesのように低音ではなく、いわゆる喚きヴォーカル気味のシャリシャリした中音〜高音でギャアギャア邪悪にガナリまくっており、いとかっこよし。
というわけで、Rawな疾走感と90年代フレンチブラックのヤバ気な雰囲気が堪能できる一枚。
Mutiilationのような陰湿さは希薄だがサタニック度は非常に高く、すこぶる邪悪。
これがもうほんとなんでこんなに魅了されてしまうのかと不思議なくらいにかっこ良く、まさしくマニア垂涎のUGプリミティブ。大衆性なんつーもんを鼻クソほじりながら蹴っ倒すマニアオンリー音源の最たる物件だが、だからこそUGマニアにとっては、もうたまらない魅力、というか魔力に満ち満ちている。ホントかっこいい。
個人的には下記95年デモより気に入った次第。やっぱこの荒々しい疾走感が最高。
フレンチプリミティブファンは問答無用でマストバイ。
Hail Les Legions Noires!!!