Trancelike Void:[Unveiling the Silent Arms of Despair]


ベルギー産、ディプレッシブ/アトモスフェリックブラックメタル、2008年EP。500枚限定らしい。
2曲で24分越えという大作志向でお送りする今作は、葬式系、自殺系といった形容がしっくりくる正しくXasthurフォロワー・ネガティブ120%スパーキンな作風であるが、昨今のポストブラック勢に通ずる儚い叙情性を帯びている点が特徴的かつツボ


教室の隅(掃除用具箱の前)で体育座りをして体をゆらゆら揺らしているようなゆったりとしたリズムの上で、哀しみと絶望にくれた湿り気たっぷり陰鬱灰色トレモロが気だるげに延々と垂れ流される鬱系アトモスフェリックブラックメタル
霞がかったようなノイジーさのギターとエコーのかかったお風呂場ドラムがジクジクしたミサンスロピーを醸し出す、エモーショナル極まりないサウンドプロダクションがXasthurを彷彿とさせ実に病的でいい感じ
根暗まっしぐらなメランコリックトレモロにはしかしWolves in the Throne Roomを彷彿とさせるようなシューゲイザー的に儚く切ない神秘的な響きが感じられ、ズブズブと鬱に沈みこみながらも暗闇の向こうに希望の光が垣間見えるかのような、神々しさ漂うメランコリーに胸が苦しくなる
ヴォーカルは遠くの方で泣き叫んでいるような凶悪な鬱系ガナリ咆哮。XasthurMalefic先生に似た、内から滲み出る怨念を込めに込めまくった鬼気迫る声質で怨みつらみを吐き出している。まさに慟哭といった感じの獣じみた良い声。
また虚無感漂う冷たい低音ドローン/アンビエントKeyが厳かに深遠なる空間を構築しており、さらに#1#2ともに楽曲の最後で挿入されるAlcestをネガティブにしたようなアコギのアルペジオが寂しさや孤独感を演出している


というわけで、シューゲイザー的なメランコリーが良いスパイスになっている雰囲気ディプレな一枚
例えるならXasthurWolves in the Throne Roomを8:2の比で足して2で割ったような感じ。
非常にメロディの叙情味が強く、こういったディプレ然りとしたサウンドとシューゲイズチックな哀愁の親和性の高さに裏付けられたメランコリズムは、かな〜り切なくも鬱屈とした感情が昇華されて癒される
ただし同じフレーズを淡々とリフレインしひたすらダラダラするスタイルなので、そういった音源に抵抗のあるメタラー気質な方にはオススメできないが、「最近のディプレブラックブームおいしいです\(^o^)/」って方は結構楽しめると思う。
個人的には、2周3周と繰り返し聴けば聴くほど気持ちよく感傷的な気分に浸れるためなかなか気に入っている
XasthurWolvesが好きな御仁は一度食されたし。


・Myspace:この作風で一時間近いアルバムを作ってほしい