Urizen:[Universe]


US産、アヴァンギャルド/クサメロディックブラック?メタル、セルフリリースの2007年5曲入りEPデジパック
もうブラックの棚の中でひときわ浮いていたこのジャケからして食指がビンビン反応していた一枚。
某雲丹の店員コメントで「一筋縄ではいかないアヴァンギャルド云々」と書いてあったから、てっきりA Forest of Starsのようなプログレッシブなブラックを想像していたんですが、いや、してやられました
まさに「予想の遥か斜め上を行くとはこういうことと痛感できる一枚。


再生ボタンを押した瞬間にスピーカーから流れてきたのはなんとピコピコ音のファミコンシンセによるドラクエのようなRPGメロ!!最初はファンタジー「いかにもRPGのオープニング!」というメロで始まり、魔王城へ足を踏み入れたようなシリアスで不気味な雰囲気へと変わり、そしてラスボスが出現した!!みたいなデロデロデロデロ(高速)というフレーズとともにゴシカルなシンフォブラックへと雪崩込む・・・
うは、なんぞこれ(笑)
シンフォニックなKeyが絡む北欧的哀愁漂うメロディックブラックをバックに、メロパワっぽいバタ臭さのハイトーンヴォーカル「それなんてドラクエ」的ファンタジックフレーズを奏でる昔懐かしファミコン系8bitシンセメロスピ的に疾駆する、かなり個性的なブラック?メタル。これは新しい。
骨格をなすメタルパートは紛れもないメロブラであり、荘厳で寒々しかったりヴァイキングっぽい哀愁を放っていたりと主張の強いメロディックトレモロが結構煽情的。しかしながらヴォーカルとシンフォアレンジによってかなりメロスピに近い雰囲気となっている。
なんといってもやはり耳を惹くのはメロディの主軸であるレトロでノスタルジックなピコピコサウンド。まるでほんとどっかのゲームから丸パクリしてきたような、ファンタジックでありながら、時にメロスピ的に明るく、時に悲壮な哀愁を漂わせ、時に勇壮にと鬼キャッチーかつ魅力あふれる素晴らしいメロディを奏でている。これは効く。


ベストチューンは#2[A Budding Consciousness]メロブラの方法論で表現するRPGクサメタルというUrizenのスタンスを最も如実に体現した曲であり、ギタメロもピコピコメロもキラキラシンセも冴えわたっている。
#4[A New Revelation]もヒロイックかつファンタジックでかっこよし。


というわけで、旧き良きファミコン世代にはなんとも言えない癒しを与えてくれるヘンテコファミコンブラック
いや、正味の話、これブラックか?(笑)
遊び心を唯一無二のアヴァンギャルドな個性として見事に昇華させた衝撃と笑撃の5曲18分。
今時分、ブラックメタルはデス声に限定せず多様なヴォーカルスタイルを許容していることは重々承知しているつもりだけど、さすがにこの紛う事なきハイトーンヴォーカルをブラックと呼ぶには抵抗がある(笑)
ブラック然りとしたノイジートレモロとピコピコ音がそれぞれに破壊力の高いメロディをキメながらツーバスドコドコブラスト疾走する様はハマると癖になる。もうたまんない。
音質も申し分なく、十分日本盤が出せるであろうと思われるクオリティ。
このスタイルで強烈なブラッキーヴォイスでやってくれたら・・・と思わないでもないが、それでも十分に楽しめた次第。
硬派なブラックメタラーにはとてもじゃないがお勧めできないが、しかし常軌を逸したこのサウンドは一聴の価値あり
メロスピクサメタルゲーム音楽とかに理解のある人はぜひ聴いてみてほしい、ハイセンスにナンセンスという稀有な逸材
天才か紙一重の馬鹿か。ご自身の耳で確認されたし。


・オフィシャルサイト:がんばってほしい
・Myspace:過去作は結構まともだったりする
・Urizen Promo(動画):レベルたけえ。いろんな意味で。
#1[A Noiseless Flash]のライヴ(動画)
まだあまり有名じゃないし、プッシュしていきたいバンドですなぁ