Darvulia:「L'Ombre Malicieuse」
フランス産、陰鬱Rawブラックメタルの2002年1st。の2007年再発盤。
おそらくこのアルバムが出た当時は白塗りナイスガイ小春Kobalがすべての楽器をプレイしている一人バンド。
鬱屈としたメロディとメロウなトレモロリフを掻き鳴らしながら強烈に不穏な空気を撒き散らすファストなスタイルで、一言で表すとしたら「デフォルメされたフレンチブラック」。
Mutiilationのような病的な閉塞感、Deathspell Omegaのような不安を煽るリフワーク、そしてフランス特有のジメっとした感触を非常にわかりやすい形で融合した、極めて錬度の高いブラックメタルをプレイされております。
メロディックで怪しげ、陰鬱かつ徹底して邪悪で、ピンポイントではMutiilationの3rd〜4thあたりに近い雰囲気。ずばり個人的嗜好ど真ん中。
しょっぱなから一分の隙すらない真っ黒メロディが強烈で、鮮烈な印象でもって脳髄を直撃する。これがまたひどく暗いくせにえらくキャッチーで、有無を言わさず心が持ってかれてしまう。ちょっとかっこよすぎるわこれ。
またヴォーカルの狂いっぷりがなかなかで、非常にねちっこい邪悪な唸り・呻き・ガナリが堪能できる。うまい具合に人間離れしておらず、ブラックメタラーでも好き嫌いの分かれそうな気持ち悪さ(褒め言葉)
ドラムはおそらく打ち込み。淡々とした機械的なリズムは何となく不気味で音楽性に非常にマッチしています。
音質はさほど悪くなく、普段プリプリした音源を聞かない人でもわりとすんなり聴けるであろう触感。厚みのある荘厳ギターとトレモロのジリジリした感じがブラックメタルとしては至極理想的でグー。硬めのドラムがいい感じ。
怪しいメロディ、キチガイ染みたヴォーカル、時折挟まれる呪術儀式のようなパートとかなりオカルティックで病んだ印象を受けるが、なんとなくストレートにも聞こえる。意外にクドくなくするっと聴けるというか。かなり洗練されているけど全くメジャー性がないという絶妙なサジ加減を実現しているといえるだろう。
アルバム通して脳内シナプス活性化しっぱなし、アドレナリン大放出の聴き応え。
ノルウェーでいうTaake、スウェーデンでいうDark Funeralといった感じの、フレンチブラックの黄金比を体現してしまった完成度の高い一枚。
今までなんでスルーしていたのかと小一時間自分を問い詰めてやりたい(笑)
フランスフェチなら聴いておかにゃいけませんなこりゃ。