Mutiilation:「Majestas Leprosus」


フレンチUGブラック界のドンにしてThe Black Legions(Les Legions Noires)唯一の生き残り、Meyhna'ch親分によるカルト・ブラックメタルバンドの2003年黒魔術ジャケNo.1の4th。俺が持ってるオリジナルは2000枚限定。1000枚限定のセカンドエディションも出ているようで、そっちには歌詞もついているとか。


一昔前(って若輩者の俺が言うのもなんだけど)までは、マニアの間ではフレンチ・ブラックの真髄と崇められる反面、音源が手に入りにくいことからまさにカルトを地でいくバンド、みたいな感じだったようだけど、いろいろ音源も再発されネット上の口コミもあいまって今やフレンチ・プリミティブの代名詞とも言えるバンド


思えば、このアルバムがUGブラック初体験だったなぁ。Dark FuneralMardukCradle of Filthとかメインに聞いてた一高校生にとってあまりにも刺激的な音源でした。言うまでもなく俺の人格形成に計り知れない影響を与えた、言い換えれば人生を踏み外すきっかけとなった思い出の一枚ww
このブログのレビュー一枚目はブラックメタル初体験のDark Funeral1stだったんで、記念すべき100枚目はこのアルバムを紹介したいと思います。


さて、Mutiilationといえばプリブラの名作として名高い1st、そして耳に残るメロディと独自の病みきった世界観で他を圧倒した3rdが日本では評価が高いようですが、個人的にはこの4thMutiilationにしか成し得ない、「らしさ」の詰まった傑作だと思っています。


基本はジリジリしたギターが印象的なRawかつファストな作風。各楽器の音がはっきり聞きとれ音質は良好(ブラックメタル的な意味で)。図太い低音が非常に邪悪。
プリミティブといっても単調ではなくしっかり展開も練られていて、曲を「魅せる」センスが非常に高いと感じます


このバンドの特徴はジメっとした独特の湿り気を帯びた暗いメロディ、そして苦しげに呻くねちっこいヴォーカル
憂いを帯びた陰鬱メロディはかなりキャッチ―かつ独特で、一度聞いたらなかなか忘れられないほどのインパクトがあります。しかし決して甘っちょろくはなく、オカルティックで病的で真っ黒で鬱
そしてグウェーーーーというガナリヴォーカルは、特に3rd以降よくAttilaと比較されてますが、並々ならぬ怨念が込められていてこの世の全てを呪わんばかり。まさに呪詛。いい意味で人間離れしておらず生の恨みつらみがヒシヒシ感じられる。時折そのままの声質で凄まじい絶叫をかましてくれますが、これは常人が真似したら即病院送り確実。Meyhna'chは一番好きなヴォーカリストの一人ですね。


ベストチューンは#4。鬱屈としたメロディは奇妙な爽やかさすら感じさせるほどにキャッチーで、凡百バンドとの格の違いを感じさせられます。まさにMutiilation流暗黒美学の集大成。#2もそんな感じ。
また、#3#5などは他のバンドには見られないような常軌を逸した黒魔術チューンですが、この絶妙な「壊れた」感覚はヤバすぎて息苦しさすら感じられます。#6も切なくて(゜∀゜)イイ!!#8はカルト。


始めから終わりまで真っ黒で、不安感を煽るどこか壊れたような空気感。病みきった閉塞的な感覚がブラックメタル界随一の黒光りを放っている名盤。他の追随を許さない暗黒経典。
おそらく似たような方向性でも3rdの方が評価が高いのは、4thの方が幾分無機質で淡白な印象を受けるからかな。確かにメロディのテンションの高さでは3rdに軍配が上がるけどドラッグ中毒のようななんともいえないダラダラ感はこっちの方が上回っていると思います。
フランスのブラックは非常に人間的というか、苦悩や死みたいな生きていく上でのネガティブなものが生臭く表現されているような気がして、この辺がフレンチ・ブラックに惹かれる理由なのかなぁ、なんて考えたりします。
そんなフレンチ・ブラックの魅力もとい魔力が凝縮されたこのアルバムを聞かずにブラックメタラーは名乗れない!!な必聴盤。
今年新譜が出るようですね。迷わずゲットの方向で。


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