Terra Deep:[Inamorata]


ブラックメタルからメタル以外も含めて大量のプロジェクトに参加しつつ、しれっとArkhumでベースもやっていたHursagによるアメリカ産独りポスト・ブラックメタル、2014年2nd。3曲35分半。
Bandcampで無料公開されている。


「どこの80年代ヘヴィメタルバンドや!」って言いたくなるバンドロゴ(←クリック)に食指が全く反応しないのだが(笑)
どっこいそのサウンドはと言えば、陽性の哀メロを掻き鳴らしながら緩急をつけつつアグレッシブにドガガガと突進する、Vallenduskを思わせるポスト・ブラックメタル
自然やアンチヒューマンをテーマに据えたオレゴン出身のポスト・ブラックメタルという事でカスカディアン・ブラックメタルと紹介されていたりもするが、Wolves In The Throne RoomAlda等に通ずる雰囲気はほぼ皆無。
BandcampでNYP乞食をしてみると過去作は結構メロブラっぽいことやっていたりするのだが、今作はクリーンギターや、アトモスフェリックだったりゴシカルだったりするシンセサイザー、ポストパンク風のダウナーなクリーンヴォーカル等も駆使しながら、いかにもポスト・ブラックなモダンなサウンドを展開している。
ヴォーカルはVestiges等に通ずるハードコア感のある野太さの中に泣きが滲んだ咆哮系。
特筆すべきはそのメロディ捌き。
伝統的なブラックメタルの邪悪さ陰鬱さなんて皆無のオサレでモダンなメロディは胸が詰まるような哀愁を孕みつつも包み込むような温かさや優しさ、明るいエネルギッシュさを感じさせて素晴らしいことこの上ない!
泣きのギターソロがチラリと入ったりなど、全体的にメロメロながらクサクサ・メロディック・ブラックメタラーよりはメロデサーにウケそうな感覚だろうか。
ベストトラックには#1[The Long Dark](上の動画)を挙げたが、このアルバムの最大瞬間風速は#3[For This I Would Kill. For This I Would Die](下の動画)の冒頭から2分半のあたりだろう。
イントロのメロメロなアコギにベース・ギターとドラムが重なっていく展開で「くるぞくるぞ・・・」と煽ってからの一瞬アコギ単体→メロメロ爆走というこの展開は神過ぎる!
この展開を聴いた瞬間の感動はかなり圧倒的だったことを今でも記憶しているし、この展開を聴くためだけにこの曲を何度もヘビロテしている次第。


というわけで、VallenduskWildernesskingなどが好きなポスト・ブラック・ファンであれば必聴の好盤!
正直なところ、「このバンドロゴは詐欺だろ!」と叫なずにはいられない(笑)
てか絶対バンドも損してるだろこれ・・・
このバンドロゴはブラックメタル狙いなら絶対ジャケ買いしないぞ(笑)
何気に2006年から活動を開始しコンスタントに音源をリリースしているベテランだが、フィジカルリリースが少ないこともあり完全ノーマークだった。
マイナー・カスカディア系をちょこちょこリリースしているので良く使うRed River Familyが2013年にコンピレーションテープをリリースしていたのに、今作を聴くまでその存在に気付けなかったことが口惜しい・・・
勿論そのテープは速攻でオーダーしますた(笑)
ともかく、下に貼った#3冒頭だけでも聴いて欲しい逸材。


【お気に入り】
#1[The Long Dark]:哀愁マシマシValenduskって感じでたまらぬ。
Facebook
https://www.facebook.com/pages/Terra-Deep/163159573697006
【Bandcamp】
https://terradeep.bandcamp.com/



#3冒頭を絶賛しておきながらベストチューンに挙げていないのは、その後の展開がイントロのテンションに劣っているから・・・決して悪くは無いんだけどね、勢い負けしている感は否めないよね、後半。