Thantifaxath:[Thantifaxath]


カナダ産、全身ローブに包んだ正体不明の新世代系ブラックメタル・トリオ、2011年EP。4曲16分弱。
オリジナルはMedia Tree Recordingsより片面12"LPでリリースされ、後にカセットバージョンがDark Descent Recordsより250本限定でリリースされた。
自分は後者のテープ版を、昨年のブラックメタル忘年会にて我らがゆるふわモテカワ系ブラックメタラーこるぴさんからいただいた。
こるぴさん、ありがとうございます!


【北米新世代系次なる刺客!神秘と激情を摩訶不思議異空間で爆散させるインテリ魔術師系ポスト・ブラック!】


冒頭、ちょっと聴いただけで入っちゃいけない異界に引きずり込まれてしまう、命を吸い取る呪われた讃美歌を吸魂鬼がアカペラしているかの如き#1[Ten Thousand Years of Failure]からしてもう我が第六感が「あ、これヤバい」とビンビン危険信号放つわけですが、続くブラックメタルチューンも実に強烈かつ個性的。
The Great Old OnesEl-Ahrairahを髣髴とさせる美しくも摩訶不思議な情景を描写する激情系エモーショナル・トレモロ後期Deathspell Omegaのような不穏かつプログレッシブなリフやポスト・ハードコア系のダークで重々しいリフ等を、目まぐるしく複雑な楽曲展開に乗せて突っ走る、インテリジェントな抽象感溢れる新世代系。
古式ゆかしい邪悪さでなくエモーショナルで神秘的な情景描写に主眼を置いており、おそらくKralliceフォロワーとして良いと思う。
とにかくKralliceを思わせる特徴的な高音で掻き鳴らされる神秘的なハイテンション・メロディが素晴らしいことこの上なく、また緩急・静動の切り返しが唐突だが絶妙で、先の読めない展開であっちへこっちへガンガン揺さぶりをかけてくるため、全編通して息が詰まるような緊張感が維持されている。
結構いろんなフレーズやリズムがしっちゃかめっちゃかに出てくるが、決して世界観は散漫になっておらず、楽曲構成力は高いと言えるだろう。
またベースがグリグリ良く動いているのがいかにもモダンで良い感じ。
さらにこの手にしてはヴォーカルがまっとうにブラックメタルらしいなかなかの喚き絶叫であり、ギャアギャアEVILに喚き散らす様がカッコ良し!


というわけで、かなり個性的で実験色の強い、見事に独自の世界を構築することに成功している意欲作。
4曲16分弱というのはこの作風にしてはかなりコンパクトだし、どうしてもEPのボリュームだと物足りなさを感じるので、もっと1曲10分超の大作を4曲くらいまとめてフルレンスを作ってくれるとかなり大変なことになりそうな予感。
ここのところUSブラックの注目株としてEl-Ahrairahをプッシュしているが、このThantifaxathも北米新世代系の要注意バンドだろうと個人的に思っている次第。
いや〜、最近の北米は本当に面白いバンドがザクザク出てくるね!
こんなモテそうなバンドを発掘するとは、さすがはモテ道の覇者こるぴ師匠
前述のようにKralliceTGOOEl-AhrairahYellow EyesあるいはJanvsなんかが好みであればきっと楽しめるのではないかと思う。
まだリリースは本作しかないので、早よ新作作っておくんなせぇ!


【お気に入り】
#1[Ten Thousand Years of Failure]〜#2[Violently Expanding Nothing]#1から#2への展開が神懸かっている!!