The Funeral Pyre / Leech:The First Book of the Kings


前者アメリカ産メロディックブラックメタル、後者アメリカ産ブラッケンド・フォークメタルによる、2006年7インチスプリットEP。3曲15分。
Forest Moon Special Productsよりリリースされた。
red/greyのスワール盤は143枚限定、半分クリア半分ブラック盤は342枚限定。
自分はスワール盤をゲット。

The Fineral Pyre#1/7分半

クリアでバランスの良いドラムがスタスタスラッシュビート/バコバコモタリ感のあるブラストを絡めながら心地よく疾走し、荘厳な響きのギターが邪悪かつ叙情的なメロディック・リフ/トレモロ、悶えるような哀愁まみれのクサメロ・リフ/トレモロを掻き鳴らし、Evilな高音喚き絶叫ヴォーカルがギャァギャァとヒステリックにガナリ散らす。
ギターとユニゾンするクサいシンフォニック・キーボードやミドルパートで厳かに弾かれるピアノが劇的に楽曲を盛り立てる。


スウェーデン辺りにいそうな、キーボやピアノの絡む疾走メロデス・スタイルのブラックメタル
とにかく慟哭のメロディが冴えわたっており、邪悪さや荘厳さを湛えながら胸が苦しくなるほどのメロディック疾走をかましてくる。
やり過ぎ甘々のクサメロ乱舞という感じではなく、メタリックでソリッドな切れ味やブラックメタルらしいダークさを維持したままメランコリックに突っ走っており、実に痛快な聴き心地。
この手のサウンドにしては長めの楽曲だが、ピアノやヴァイオリンを絡めて厳粛な雰囲気漂うミドルパートを挟みこんだりと楽曲展開もしっかり練られており、かつヴォーカル含めすべての楽器が急き立てられるようなテンションを維持しているため、シリアスな緊張感があって退屈することなく走り切ることが出来る。

Leech#2、#3/7分半

ライブ感のある生々しい音のドラムがドコドコスッタンスッタンとライブ映えしそうなパンキッシュで小気味良いノリノリミッドテンポ中心にバコココと荒々しくブラストも絡めながら軽快に疾走し、ジリジリと程良く歪んでアナログ感が強い響きのギターが、大自然雄大さや温かな血の通った叙情を孕んだエモーショナルなカスカディア的トレモロ/リフ、フォーク/ペイガン的勇壮さを感じさせる熱血メロ、ストレートにメタリック・ハードコアなリフ等を叙情味たっぷりに掻き鳴らし、ビコビコベンベンとハードコアっぽいヤサグレたアタック感のあるベースがグリグリ良く動きながらメロディックなラインを紡ぎ、噛みつくようにギャァギャァとガナるブラッキーな高温喚きと、吼えるような低音グロウルの二軸ヴォーカルがハイテンションに掛け合っている。


既に解散してしまっているカスカディアン・ブラックメタル
2004年結成ということで、何気に元祖カスカディアン・ブラックのWolves In The Throne Roomと同世代の重要バンド。
WITTRのように神秘的で幽玄なアトモスフェリック・ブラックといった音ではなく、非常に力強く骨肉のしっかりしたサウンドであり、特にリズム面でハードコア的なノリが強い。
軒並み大作路線なカスカディア系であるが、2曲8分弱とランニングタイムもコンパクト。
ブラッケンド・フォークと書いたように、サウンドこそハードコア色の強いメロディック・ブラックだが、そのメロディセンスは完全にフォーク/ヴァイキングメタルのそれであり、実に素朴かつ芳醇な木目調メロディが激情仕立てで繰り出され琴線を刺激しまくる。
Aldaと同系統の温かみすら感じさせるヘイル大自然なメロディ捌きだが、全体としての質感はFall Of The Bastardsにも近いように感じられる。
またベースの存在感が半端ではなく、ここまでくるともはやリズム楽器ではなく紛う事なきメロディ楽器といったレベル。
時にはギターを凌駕するほど耳を惹くメロディを奏でており、そうしたベースと悶絶激情ヒーゼンなギターが絡み合うエモーショナル大合戦には思わず全身全霊でガッツポーズ。
さらにこのバンドは押し引きのツボを心得たリズム感のセンスが抜群であり、一瞬タメた後、クサメロギターがインして疾走に雪崩れ込んだりと、ライブで聴いたら失禁ものの展開で魅了してくれる。

総括

というわけで、両者ともにメロディックで素晴らしい好スプリット。
特にLeechは最近ハマりまくっているカスカディアン・ブラックの中でも特にお気に入りのバンドであり、何度聴いても悶絶してしまう。
収録時間も短く枚数限定のアナログ音源ということで手を出しづらいかもしれないが、めちゃくちゃ密度の濃厚な15分となっているし、Leechの音源の中では比較的入手も容易なので、興味をもたれた方は是非聴いてみていただきたいオススメの一枚。


【お気に入り】
#3[On the Eve of Battle]:拳握りっぱなしの4分。
【The Funeral Pyare Blogspot】
http://thefuneralpyre666.blogspot.com/
【The Funeral Pyre MySpace
http://www.myspace.com/thefuneralpyre


こちらはThe Funeral Pyre